城下町松山は、藩主秘蔵の茶菓子から、 庶民の台所生まれの菓子まで揃う菓子どころです。
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坊っちゃん団子坊っちゃんは、道後温泉の帰りに「大変うまいと云う評判」の団子を食べた、とあります。小さな求肥(ぎゅうひ)を三色の餡で包み、串刺しにして温かいまま売られています。三色の餡は抹茶、小豆、卵で色づけされているので添加物はいっさい使っていないそう。湯上がりに手拭い片手で坊っちゃん団子をパクついて、坊っちゃんの時代の雰囲気に浸るのも楽しいものです。
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タルト17世紀中頃、オランダ伝来の南蛮菓子を、松山藩主の松平定行が長崎から持ち帰ったのが始まりです。四国特産の柚(ゆず)を餡に練り込み、しっとり仕上げたカステラで巻きました。和洋折衷のお菓子でありながら、油脂をまったく含まないあっさりした甘さです。風雅な味わいのため、松山藩では門外不出の茶菓子だったタルト。今も「の」の字のお菓子として親しまれています。
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薄墨羊羹松山市の西法寺に薄墨(うすずみ)桜という老木があります。薄墨羊羹は、この桜にちなんでつくられた品。抹茶の出す緑がかった深い色と、桜の花びらに見立てて散らされた白い豆が美しく調和しています。桜の葉に花びらがひとひら載ったようでもあり、宵闇(よいやみ)に桜の花が浮かぶようでもあります。上品な甘さとほのかな抹茶の香りが人気の羊羹です。
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しょうゆ餅元禄年間に松山城下の町家や武家で、桃の節句のお供えとして作られていたのが始まりです。本来は米粉としょうゆを原料とした茶色の餅だけでしたが、今では抹茶や食紅を使った色とりどりの餅もあります。松山城下の庶民の手で伝えられてきたしょうゆ餅は、今なお家庭で作られている、松山特有の郷土菓子です。 |