「春や昔十五万石の城下哉」
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道後温泉から足をのばしてみると、石手寺(いしでじ)があります。このお寺は、鎌倉から室町時代の建造物が多く残る古刹(こさつ)。国宝や重要文化財が並びますが、どこかひなびた雰囲気が魅力です。ここでは、伊予出身の俳人篠原梵(しのはらぼん)の句を見てみましょう。「葉桜の中の無数の空さわぐ」の句からは、松山の町のさわやかな風が吹いてくるようです。同じ石手寺で、与謝野晶子は秋の歌を詠みました。「伊予の秋 石手の寺の香盤に 海のいろして立つ煙かな」---参拝する人々がこの「煙」を体にかけるために、お寺にはいつでもたくさんのお線香に火がともされています。 |