私が恐れるのは、あと10年か15年もすると、
わたしは感傷的になっているのではない。
ところが、われわれは組織の弱さや資金の欠乏から
これはほとんどの国で同じである。
カセットがもっとも辺境の村にも普及し、
それとひきかえに地方独自の音楽が衰退して、
人々が粗雑な音楽に馴らされてしまうことである。
そのとき、人々は自分たちの文化を失ってしまうだろう。
もしローカルな文化が消え去れば、
世界全体の文化が、ひとつの相を失うことになる。
いかに小さな国であっても、われわれは、
歌う、伴奏する、詠ずる、拍子をとる
といったことに固有の様式を持っており、
世界文化に小さいながらも独自の貢献をしている。
独自生を失ってしまうかもしれない。
政府はナショナリズムに力を注いではいるが、
開発問題が浮上してくると、文化は後回しになる。
空腹を満たすことがまず第一であり、
農業、道路、工場への投資が終わった後で、
ようやく文か活動に回すカネを探るのだ。
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( W・B・マクロルワ、スリランカ、1982年)