「神の戸が開いた!」「地球が怒った!」
1年目の震災ごっこ
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[go to 津村 喬 / 震災後の声を集める Part-2]
Winter 1996
『震災後の声を集める』は、神戸在住の気功家であり評論家でもある津村喬さんによる、「被災」たちの生の声のアンソロジーです。大震災についてはマスメディアも報じていますが、津村さんのレポートはひと味もふた味もちがっています。Part 1では震災直後から1年間の声を集めました。
17日夜明けまでの神戸の集会(写真等)
長田区菅原市場――追悼式とディスカッション
voices-1
《記憶》
避難訓練も一種の「ごっこ」であり、ロールプレイだが、すでにおこってしまったことも繰り返し演じ返されることで「癒し」になるらしい。
忘れないで直面すること、その意味を問い続けることが、都市の癒しに通ずるのではないか。
voices-2
《神の戸が開いた》
「神戸は神の戸」と言ったのは出口王仁三郎。そんなこと知っていそうにない人たちがあちこちで「神の戸が開いた」と言っていたのが1月2月だった。
とほうもない自然の「力」にふれて、多くの人が日常持たない神秘的感情をよびさまされていた。むしろその力が自分に分け与えられたような感覚があった。
神戸市が学者に頼んで記者会見をした。明石大橋は震源地のすぐそばだった。それほどみんなが開発工事のために「地球が怒った」と思いたがった。
家をなくしてかえってさばさばした、今までのような神戸市ならないほうがいい、とまで言う何人もの人に出会った。必ずしも「負け惜しみ」や「カラ元気」だけではない批評精神があるように思う。
voices-3
《水汲みの日々》
どこのマンションでも、公団でも、新しい「出会い」があった。それは埋められている人を助けるレスキューの時期の助け合いの「次の一幕」だった。
山口組の迅速な対応と救援物資配布は海外でも話題になった。ほんの一時期で目立つことはしなくなった。長田区南駒栄公園でテント暮らしをしていたベトナム人被災者たちは言葉がわからないため自衛隊クーデターを実際に信じて恐怖にかられた。3月、三宮の歩道橋に「自衛隊さんありがとう」という巨大な横断幕が掲げられ、数日で撤去された。誰が出したのか、誰が撤去させたのか、謎である。
EMは「有効微生物群」のこと。農業や畜産に評判だが、被災地ではトイレの臭い消しに使われた。熟したフルーツのような臭いに変わっていく。
一周年で1分間電灯を消すなんて言ってるけど、1週間水道を止めてみたほうがいいような気がする。メモリアル・ウィークの「震災ごっこ」である。(文・津村 喬)
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