[Pilipino] . [Hapon]




むかしむかし、彦一という、いたずらが大好きな男の子がいました。
そのころ、山にはてんぐがすんでいて、まいにち剣のけいこをしていました。
でも、てんぐは”かくれみの”という、まほうのうわぎをきているので、 声はきこえてもすがたは見えません。
彦一は”かくれみの”がほしくてたまりませんでした。
ある日、彦一は、竹づつをもって山へいきました。
「えい、えい、おう」てんぐの声だけがしています。
彦一は、竹づつをのぞいて、大きな声でいいました。
「おお、見える、見える、遠くがよーく見えるぞお。」
すると、てんぐがいいました。
「彦一よ、そりゃ、なんだ? わしにもちょっとかしてくれんか」
「すがたの見えないものには、かせないよ」と彦一。
てんぐは”かくれみの”をぬぎました。
まっかなかおに、ながい鼻。

こわいのを がまんして、彦一はまたいいます。
「”かくれみの”をかしてくれたら、これをかしてあげるよ。
やあ、みやこでは、みんながおどっている。
すもうもやって いるぞ!」
もうがまんできません。
てんぐは”かくれみの”を彦一にわたすと、
すぐに竹づつをのぞきました。でも、見えるのはやまや空ばかり。
「なんじゃこれは。やい、彦一、こら!」
けれども、さっさと"かくれみの"をきた彦一は、
もうどこにも見えませんでした。




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