渋谷正信@釧路
極寒の釧路湿原に潜る

「人が水と接することで、
 自然が癒されることもあると思います」
 Winter 1996 2/24

「私は鮮明に思い出すんです」
渋谷さんはこれまでに潜った様々な"水の感覚"や"場所の感覚"を、
すべて鮮明に思い出すことができるといいます。
96年2月、渋谷さんは故郷・釧路の湿原に潜り、ほぼ零度の水中で「水の記憶」の原点を辿りました。

釧路湿原レポート
実況音声と共にお楽しみ下さい /
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 1)「水が …」  2)「魚は…」  3)「私の…」  4)「釣りで…」



shibuya1  釧路の気温 マイナス12度

shibuya1
「水が…」Audio mark
もうひとつのゲージくれる?
やっぱ水温4度なんかないわ、0度だ。
ちょうど凍る寸前だな。

. . .でも気持ちいい。最高だよ。

何が見えるんですか?

もうほとんど何にも、あのね、砂だけ。
生物はほとんどいない。
ただただ、水が流れているだけ。

水が、流れているだけ…。



 釧路湿原の水温 0度
 (東京湾の水温 12度)

冷たさにバカになる、慣れてくる、ではなく、冷たさが快感になるんです。
ハイになるともいえるし、エンドルフィンだらけともいえる。

近い感覚が滝行で、
はじめは水が刺さるように痛いけれどだんだん気持ち良くなってくる。
いつまでも水に身体を沈めていたくなるんです。

自然は険しい面もありますが、その先に楽しみや快感がある。
意外に人間は、何も試さずに、自分で限界を作ってしまっているのではないか。




return

shibuya2 地元のおじさんが
渋谷さんに声をかける。

shibuya2
「魚は…」Audio mark

水から上がったら上、天国だよ。本当。

魚見えなかった?
魚、見えない。探したんだけどね。

秋鯵まだいるはずだよ。
俺今日、2回見たもん。今まで釣ってたんだ。
あのね、そんなに見えないからだと思うよ。
透明度、そんなに良くないからね。

なんぼなん?
見えても、1mか2mぐらいしか見えないから
あ、それしかない?
うん。

これ、釧路川としては透明度いいほうだよ。
今日、これ、いいでしょ、これ。
ああ、最高のほうだよ。



 湿原の底は泥炭なので、澱んでおり、
もともと透明度が低い。

 水はきれい。




return

shibuya3 ダイビングの後。
おじさんと意気投合し、話しこむ。

shibuya3
「私の…」Audio mark


気持ちいいね
川、ずーっと流れながら入っていくとね。


昔なんか何もなかったからさ、
来て、川の中自由に入ってた。
裸でボーンと飛び込んで。


うん。
私の川も、
やっぱりこういう川なんですよ。



渋谷さんも子供の頃
釧路の川を裸で泳ぎまわっていた。

「こんな冷たい川に入るなんて、危ないことするな!」
小学生の頃、全校生徒の前で殴られました。
でも、どうしても水に入りたい。
少し暖かくなると、釧路の小さな川に行って泳いでいたんです。
その頃から水に呼ばれていたんですね。




return

shibuya4  冬は鮭、春は鱒、秋は鯵。
 シーズン中は邪魔で泳げないほど
 魚がたくさんいるという。

shibuya4
「釣りで…」 Audio mark

今だど下手にここ入ったら
針がいっぱいついているから怪我するかもしれないよ。
釣りの?

釣り。

だからね. . .。
木の根が、川の底にあるんだけど
それにたくさん引っかかってるんですよ。

ルアーが何十本も引っかかってるでしょ。

そう、すごい。

ぐちゅぐちゅになってる。




釧路湿原は都会の人がキャンプやカヌーなどのレジャーで訪れ、
それから地元の人も水と遊び、親しむようになったんですね。
見えないところで少しずつですが、釧路の自然も侵されてきている。
水の底には人工物が落ちている。空き缶もありました。
でもそれで、レジャーを自然破壊と否定するのはおかしい。

水の中に人が潜り、息をはく、
「気」を出すことで自然が癒されることもあると思います。
人が水と接することで水が喜ぶとか。

遊びを通じ、自然と触れることで自然を守ることができると思う。

ダイビングで川くだりしたいですね。
アメリカではやっていますけれど、
そういうダイナミックなことしたいですよね。
もうちょっと暖かい時期。
しゃけと一緒に。


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