入り口から小猫が入ってきた。
北京取材の大本営「加藤屋」もそろそろ閉店の時間。
店主が「もう終わりだよ」
といってもまだ入り口の戸の陰にいる。
仕方がないから「ビールくらいならあるから、入ってこいよ!」
知らないところへ迷い込んだ小動物のように、
用心深く入ってきてチョコンと椅子に腰掛けた。
グラスに注いだビールを両手で抱えて顔をくっつけて、
ペチャペチャ舐めるように飲む様子があまりに可愛いものだから、
いろいろと話し掛けてみるのだが、返事は何故か英語。
中国語は判るようなので「中国人でしょ?」って聞いても、
上目遣いにうなずくばかり。

最初からこんな調子で変な小姐だったが、
居心地がよかったのか、それから時々店へ顔を出すようになった。
この小猫、最近では少しは慣れてくれて中国語でも話をするようになり、
今回の翻訳の手伝いなどもしてくれている。
彼女は、北京外語大学で英文学を専攻する学生なのだ。

文:野猫



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