百鬼徒然袋 巻之下
(国立国会図書館所蔵)
石燕曰く
そそ野に命をいたづらに那須野の原の野干をいたる三浦の介 上総介が古うつぼにやと、夢の中におもひぬ。
解説
石燕の画には妖怪名、詞書がありません。これは国立国会図書館蔵の 本(文化二年版)では欠けていますが、東京国立博物館蔵の本 (天明四年版)には「古空穂」以下の詞書が書かれています。
空穂(うつぼ)とは矢を入れて背負う道具のことで、古空穂は、 人や獣を射殺した矢を入れていた空穂が年を経て妖怪に変化した ものでしょうか。