日本神話には
冒頭の引用に掲げたような火神誕生神話がある。
日本最古の文献である『古事記』(712年)には、
高天原と名づけられた聖なる天界から降りてきた夫婦神が
「ミトノマグハヒ」、すなわち性交をして、
日本列島の島々を出産していくという
国生み神話が語られている。
日本神話においては、
国土となる島々も、石や風や山川草木も、
イザナギ・イザナミという創世の夫婦神によって
産み出されたのである。
つまり、この大地自然は
神々の性的交わりによってできた子供であり、
人間もまたこの神々の子孫であるから、
ひっきょうするに、大地自然と人間は
同じ女神の胎(はら)から生まれた
「同胞(ハラカラ)」であり、
兄弟姉妹である、ということになる。
人間も大地自然も
同じ神の身体から胎生した身体性をもっている、
ということである。