原日本・高知自然流生活館水UPBOTTOPHOMEMAPIWE96

室戸オーシャンエコツアー


室戸の海の楽しみはホエールウォチングだけではありません。   
船で海へと出ると、大きな空と、どこまでも広がる波ばかりのようですが、注意深く観察していると、いつの間にか自分自身が室戸の雄大な自然に包み込まれていることに気付きます。海面すれすれに滑空するミズナギドリ、そのミズナギドリの目を盗んで波を切るトビウオ。運が良ければ、マンタやマンボウや赤海亀にも出会います。出会わない方が幸運かもしれませんが、サメやシャチも姿を見せます。また、生き物との出会いばかりではなく、刻々と変化する雲の形や波の形を眺めるだけでも十分楽しめます。   
では、その室戸の海に出掛けてみましょう。   
港1996年5月23日(木)・高知県室戸市佐喜浜漁港 (天候などの条件)=薄曇り、2日前に雨、波1.5〜2m、風やや強い。水平線はクッキリ見える。
陸地の気温23.5℃、海上の気温21℃、海水20℃ 
下り潮、潮の色はまあまあ。          

船前日の目撃情報を漁業無線で入手して、佐喜浜港より南東の方角へ約10km移動。

海図長岡船長のマル秘マップ。クジラに出会ったポイントをびっしりと書き込んでいる。

海■長岡談:
「こんな天気を室戸ではマッコウ日和と言うんで。
昨日はかなり見えましたよ。」


かすかに室戸岬が見える。

トビウオ舳先から海面すれすれに飛ぶトビウオが見える

水中マイク試みにマッコウの存在を確認するためにハイドロフォン(水中マイク)を入れてみましたが遠くを航行する船のスクリュー音しか聞こえませんでした。

水鳥海面にゴミが点々と浮んでいると思って、目を凝らすと、飛び疲れたミズナギドリでした。本物のゴミ(空カン、ビニール)もちらほら。船上から決してゴミを捨ててはいけません。波は天気予報通りに高い。さらに風が強く波頭が白く見える。これで、マッコウのブローが見えるのだろうか・・・少し不安。南西の方向へ約5.5kmほど移動することに決定。

海物見台から突然、『ブロー』の声が上がる。第2末広丸は急停船。全員が物見台の人が指をさす方向を凝視する。200mほど前方5ヵ所に同時にブロー(潮吹き)が見える。第2末広丸は、微速前進。ゆっくり、ゆっくりとブローが見えた方向へと進む。水面ばかりを見つめているので、どれくらいの距離を進んだか分からない。と、突然、右舷から体長15mのマッコウが姿を現わし、ゆっくりと船の前を横切って行く。手を伸ばせば届きそうなほど近い。

マッコウクジラ■長岡談:
「いや、エンジンは切らない方がいいんです。クジラには、同じ調子の音を聞かせておく方が安心しますからね。」

マッコウクジラ完全に横切った後、ゆっくり追尾を開始。時折、潜行する真似をするが、まるで船を誘導するように、ゆっくり、ゆっくりと進む。きらきらする海を長時間見つめ続けるのはかなりつらい。つばのある帽子と紫外線カットのサングラスは絶対に必要です。

マッコウクジラ5〜6分も誘導ごっこを楽しんだマッコウは、ペンダクルアーチ(背中を大きく丸める)をして潜水を開始。最後に「さようなら」の合図のようにして尾ビレを立て海中に姿を消したのでした。

マッコウクジラじっと息を殺して波のむこうのマッコウの姿を追っていると、このマッコウの姿がだんだん大きく見えてきます。目の錯覚かと思ったのですが、実際に、マッコウは真直ぐ船に向ってきました。その黒々とした巨大は、まるで潜水艦のようです。
マッコウクジラの映像(Quick Time) 977KB

マッコウクジラ頭部の噴気孔も、はっきりと見えます。握りこぶしがスッポリと納まりそうな、大きな鼻の穴です。船上は、もう大興奮状態。歓喜のパニックです。

マッコウクジラマッコウが海中に消えた後、彼らの声を聞くためにハイドロフォン(水中マイク)を波の間に静かに入れてみました。
すると、貝ガラをこすり合わせるようなマッコウの“声”がイヤフォンを通じて耳に飛び込んできました。


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原日本・高知の自然流生活館UPTOPHOMEMAP96/7/1更新 (C)高知県