カスパロフ氏対ディープ・ブルー ディープ・ブルー
ゲームプログラム解説特別観覧席ディープ・ブルー
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ディープ・ブルーって何?

チェス盤を越えて...
大きな一歩

この試合は人間と機械が競う単なるゲームではありません。人間とコンピューターにはそれぞれ違った役割があり、能力に大きな違いがあることなどを示唆しているゲームです。画面にはガルリ・カスパロフ氏の緻密で闘志溢れた試合巧者ぶりがアニメーションで描写され、また1秒間に10億通りの手を読めるディープ・ブルーの能力が描かれています。

ディープ・ブルーとカスパロフ氏が協力し合うとどんなことが実現されるか、その可能性を想像してください。人間だけが持ち得る能力に機械の能力を掛け合わせてみる。それこそが、この試合の持つ意義なのです。また、ひとつの動作を正しく実行する装置に、IBMの研究員が非常に多くの時間と労力を費やす理由も、ここにあるのです。

1989年にディープ・ブルーの前身であるマシンとカスパロフ氏が対戦したときは、カスパロフ氏が簡単に勝ちを収めました。そこでIBMが再び研究に取り組んだ結果開発されたのが、旧マシンより1000倍の速度を持つディープ・ブルーです。

今回、 カスパロフ氏は再び勝つかもしれませんが、1989年のときのように圧勝できるでしょうか。また、ディープ・ブルーよりはるかに強力なコンピューターがあったら、カスパロフ氏に限らず対戦相手はどのような戦い方をするでしょうか。IBMがここで紹介するコンピューター設計は、数倍の能力向上が可能です。このようなコンピューターの進歩によって、遅かれ早かれ、カスパロフ氏のような天才でもコンピューターに負ける日が来るでしょう。

その日が来たとき、「コンピューターが人間にとって代わる」ことを扱った記事が氾濫するでしょう。しかし、そのような記事は重要な点を見落としています。コンピューターが何年間もグランド・マスターズを制覇し、コンピューターが最終的にチャンピオンを破ることはIBMの研究員とっては素晴らしいことですが、チェスの世界ではほとんど何も変化が起こらないはずです。

人間は自分にできないことを行うために機械を発明しました。機械は人間に強い力を与え、高速で移動できるようにし、空を飛ぶことさえ可能にする道具です。人間の体が人間の意思によって動くように、人間が作った道具もまた人間の意思によって動きます。つまり、機械は人間の可能性を広げるための道具なのです。
今年の7月に開かれるオリンピックを観戦する人にとって、オリンピック選手よりクルマの方が速いなどということはどうでもよいことです。同じようにチェスはすべての競技と同様、テクノロジーによってその興味が減じるゲームではありません。ディープ・ブルーはチェスをプレーするコンピューターであって、決してチェスのプレーヤーではないのです。

どちらが勝っても負けても、ガルリ・カスパロフ氏がチェスのチャンピオンであることには変わりありません。コンピューターという道具に秘められた大きな可能性がディープ・ブルーによって実証される。これこそが、IBMの研究員が証明しようとしていることです。

ディープ・ブルーによって世界が変わることはありません(ディープ・ブルーがチェス専用のコンピューターとして開発されたのは、IBMの研究員がチェスを差し障りのないゲームと捉えているからです)。しかし、ディープ・ブルーの設計が多くの人に多くの変化をもたらすことは間違いありません。1000倍に能力を向上したコンピューターは、科学者や企業の未来にとても大きな可能性を開くはずです。

ネットワーク化された世界では、小さな一歩が大きな飛躍となります。ディープ・ブルーのようなシステムは、世界中の人々にその能力を提供するだけではありません。人々から得た情報を利用して問題解決のために協力し合い、互いに学び合う環境を作り出すことができます。どのようなコミュニティでも、「その構成員の能力に優劣の差はなく」、ディープ・ブルーのプロジェクトから得られる教訓が構成員すべての能力を向上させるのです。

ガルリ・カスパロフ氏とディープ・ブルーの能力が統合された状況を想像してください。そして、ガルリ・カスパロフ氏、ディープ・ブルー、および現代のすべてのグランド・マスターズと対戦するという、夢のようなゲームを想像してください。

ここで、チェス盤の向こうにある世界に目を向けてください。1000倍の速度向上を実現したコンピューターの能力に協力者の人数を掛け、ループにフィードバックされるすべての知識をさらに掛けてみてください。物理学者でなくとも、この答が非常に大きな値になることは理解できます。そして、仕事全体の目標が何であろうと、目標は必ず変化します。これまでは解決できなかった問題も、現代では簡単に解決できます。「不可能な」問題(例えば、宇宙で失われた質量を求めたり、人間のDNA構造を解明するような問題)を解決するには長い時間が必要です。しかし、コンピューター・アーキテクチャーとネットワークが発展した現代では、医療、科学、企業が抱えている最も困難な問題についても、大きな解決の糸口を見い出すことができるのです。

コンピューターという道具はあります。そして、人間はその道具を作り出す方法を知っています。あなたはどんな問題に解決の糸口を見つけたいと思っていますか。

- 身近でパーソナルになったディープ・ブルー(英語)
- チャールズ・シェフィールドのスピン(英語)

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