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《古書院・月見台》

3つの書院中もっとも古い古書院に、池を望む月見台があります。『源氏物語』の月見の宴に想を得た桂離宮の、ここはまさにハイライトといって良いでしょう。月見台を含む書院群の方位は東南角19度。ちょうど中秋の名月を真正面にとらえる方位です。通常の日本建築の方位角が真南または真東を基本とすることから比べても、観月にかける作者智仁親王の執念がうかがわれます。
また対岸の築山をあまり高くせず、樹々の上に上る月を一瞬でも早くとらえようとする配慮が見られます。