Aug. 6, 1996

Art Infomation Index - Jul. 18, 1996


【三上晴子《Molecular Informatics》をヴァージョン・アップ】
 ……………………●四方幸子

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DEAF(英語)
http://www.v2.nl/DEAF/
DEAF.html

「R96 Festival-new temptation」
−四方幸子
Art Information, Sep.10

三上晴子《Molecular Informatics》
をヴァージョン・アップ

●四方幸子



私がキュレーターとして関わっているアートラボでは、ここ約2年三上晴子と共同制作を続け、2つのプロジェクトを発表してきた。 昨秋から今年4月までインターネット上で公開されARTLAB5《Molecular Clinic 1.0[モレキュラークリニック]》、そして今年の春に展覧会として開催した視線入力によるVRインスタレーションARTLAB6《Molecular Informatics[モレキュラーインフォマティクス]―― 視線のモルフォロジー》である。三上氏は1991年以降NYでコンピュータサイエンスを学び、それまでの物としての作品からメディアアートへと移行する段階にあったこともあり、この2つの作品が新たなスタートとなった。
  これらの作品は「あらゆる物体はモレキュラー(球体分子)の連鎖の仕方を変えること によって人工的につくりだすことができる」というモレキュラーバイオロジーの理論を参 考にしている。もちろん三上氏の目的はこの理論を実証することではなく、それをメディアアートに適用して新たな形態生成の可能性を探ることにある。それはこれまでの美術で おこなわれてきた、見えているものの形の美的な価値を問うアートではなく、プログラム(数値)自体の変化を可視的な形態の変化にインターフェースさせる実験としてのアート である(これを彼女は〈数学と知覚のインターフェース〉と呼んでいる)。ここでの(作品〉とは、体験者の参加によりつねに変化を 続ける、ひとつの(出来事〉といえるだろう。"Molecular Informatics"では、体験者は一人ずつ視線検出センサー付きVRグラスをかけて仮想空間に入るが、視線の動きがリアルタ イムで情報としてプロセスされ、その軌跡に あわせてモレキュラーが連鎖的に発生していく。つまり新たに生成されつづけるモレキュラー世界は、体験者がいかに仮想世界を見、それに反応するかの反映となる。意識下的な 微細な視線の動きでさえ数値化されてモレキ ュラーとして瞬時にあらわされる。作品を体 験する人々は、非意識的な自己の反映とも向 き合うことになったのである。
 《Molecular Informatics》は9月17−29日にオランダ のロッテルダムで開催されるDEAF(Dutch Electronic Art Festival)への出展が決定しており、現在ヴァージョン・アップ中。この最新ヴァージョンでは、二人の体験者が同時に仮想空 間を共有し体験する形式(複数の視線とその 関係性)によって、これまでにない世界が展開することになりそうだ。

[しかた ゆきこ/美術批評家]

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