Jul. 18, 1996 Aug. 27, 1996

Column Index - Aug. 6, 1996


a)【<アトピック>による可能性】
   ……………………●四方幸子


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《アトピック・サイト》は、8/1-25東京ビッグサイト西3ホールにて開催。
またアトピック性をテーマにした関連プロジェクト「On Camp/Off Base」が8/10-19に西4ホールにて開催される。インターネットによるプロジェクト 「Tokyo Art Zone」も公開中。

Ocean Earth(Genova)

Ocean Earth(Genova)

海洋資源や河川の有効活用を提案した
オーシャンアースのプロジェクト
(ジェノバ湾と近郊の河川)

Ocean Earth(Tokyo)

東京ビッグサイトに展示された
オーシャンアースの「クリーン・エア・リグ(環境浄 化)」
のための構造物






「Tokyo Art Zone」 http://www.gol.com/taz/
 

 

 

 

 

 

 

 

〈アトピック〉による可能性

●四方幸子

 

都市の問題をめぐって

現在 《アトピック・サイト》という展覧会のために動いている。これは〈都市の危機と再生〉をテーマに、世界各地において都市におけるさまざまな問題に取り組んでいるアーティストのプロジェクトを臨界新都心の東京ビッグサイトという、それこそポストアーバニズムの極地において展開するものである。
 都市、特に近代以降の都市におけるプロジェクトは、管理された理想の都市という大文字の目標を掲げて邁進してきた。しかしこのような、透視遠近法的方法によって現実の社会を語ることにはそもそも無理がある。たとえば16世紀末にはすでに大都市においてホームレスの人々が存在していたというが(ホームレスや亡命者、難民の歴史がもっと語られるべきだろう)、それは問題として設定されるものではあるものの、ある意味で都市という〈身体〉において表面的な壮麗さと不可分なものであり、それを近代というプロジェクトが徹底的に病理として排除しようとしたことにこそ問題があるのではないだろうか。都市というものが電子的にますます拡散し、統一平面を逸脱した多層な様相を見せている現在において都市をめぐる様々な問題を病理で はなく、未来への新たな可能性=リソースとして再発見することからわたしたちは始めなければならないだろう。

社会と相互触発的な関係にあるアート

世界各地における問題(それは都市もしくは都市をめぐって連結されている)が、それぞれの文化・社会的文脈に依存しているものの結局は共有されうるものであり、潜在的にいつでもどこでも形を変えておこりうるものであることを想起する想像力が必要とされている。それぞれの場所がもつ固有の課題およびモチーフを、わたしたちは交換また共有することができる。つまりトピック(話題)およびトポス(場所)の転移可能性としてのアトピック性を……しかもハイブリッドにシャッフルされた形で生起するものを……前提としなければならない。
  社会においてアーティストは敏感なリアクターとして機能し、その脱領土性/脱中心性によって社会やそしてアート自身をも触発する可能性をもっている。アートは社会とともに生成し、社会はアートによって生成しうる。つまり社会とアートは相互触発的な関係としてある。この展覧会においては、それが生成する〈場所(サイト)〉として展開される。

アトピック性をもつ世界観の提示

プロジェクトを展開するアーティストは、それぞれ都市の固有の問題にとりくみながらも、現在における広義の意味での〈都市〉における問題系を共有し、グローバルな視野をもちながら、非常にミクロ・ポリティカルなレベル、つまりその場所に生活する人々の視点に立脚した活動を展開している。社会運動ではなく、あくまでもアウトサイダーとして。
  私が担当しているオーシャンアースは、ピーター・フェンドを中心にアーティスト、エンジニア、建築家などによるグループで、世界規模で広義の意味での情報(自然環境も含まれる)の流通促進による、モノを基盤にした消費社会また人間中心主義からの脱出、つまりインフォエコロジー/インフォエコノミー的世界観をアートとして提示している。それはもちろんアトピック性をもつが、世界中を飛び回り、各地で感知した問題をグローバルに関連づけ構想していくフェンド自身がアトピック性(そしてホームレス性)を体現していることはいうまでもない。

[しかた ゆきこ/美術批評家]

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