石燕曰く |
金の鶏は淀屋辰五郎が家のたからなりしよし。此かねも鉦五郎と言へる
からは、金にてやありけんと、夢のうちにおもひぬ。
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解説 |
淀屋辰五郎は大阪の豪商で、贅沢をきわめたため、幕府に目を付けられて
没落しました。その一代記は、近松の浄瑠璃で「淀鯉出世滝徳
(よどのこいしゅっせのたきのぼり)」にもなりました。
「百鬼夜行絵巻」(真珠庵蔵)の
器物妖怪
の行進の部分に描かれている
鰐口の妖怪に構図が似ています。これを鉦に見立てたものでしょうか。
柳田国男の「妖怪談義」(講談社学術文庫)の「大人弥五郎」では、
五郎は御霊に通じ、
御霊の社の多くは何の五郎という人を祀ると伝えられているそうです。
美濃の落合五郎、信濃の仁科五郎、会津の加納五郎、下総で千葉五郎、
相州で曾我五郎など。また鎌倉の御霊の宮を鎌倉権五郎というとか。
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