石燕曰く |
鄭瓜州の瓜田に怪ありて、瓜を喰ふ霊隠寺の僧これをききて符をあたふ。
是を瓜田にかくに、怪ながくいたらず。のち其符をひらき見るに、李下不正
冠の五字ありと。かつてこの怪にやと、夢のうちにおもひぬ。
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解説 |
「徒然草」の第六十六段では、「初雪といへども、沓の鼻のかくれぬ
ほどの雪には参らず」とあり、このあたりから連想された妖怪かも
しれません。
石燕の言葉にあるのは、「瓜田に沓を入れず、李下に冠を正さず」と
いう格言を元にしたものです。格言との連想から、瓜田に出たのは沓の
妖怪であろうかと夢想したのでしょうか。
画の下部のもぐらか山鼠のような妖怪は、「百鬼夜行絵巻」
(真珠庵蔵)の沓の妖怪を参考にしているように思われます。
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