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AMBASSADOR YUCHENGCO

▼投資は1000%も可能▼

クムスタ: 最初にお伺いしたいのですが、新聞によると大使の任務はこれまでの日本 からの投資額を3倍に増やすことだと伺いましたが…。

大使: フィリピンの経済がこのところ好調なのは確かですが、その投資を3倍に増や すという話しは知りません。まあフィリピン大使館側かあるいは私がどこかでそんな コメントを発表したことがあったのかも知れませんが、3倍に増やすなんてことにこ だわる必要はありません。できるなら10倍だっていいんですよ。そうでしょう?

 私は東京に赴任してから日本の有力企業のトップと会談を重ねてきました。三菱、 丸紅、日商岩井など主だった企業のすべてです。そこで私たちは日本の海外投資の計 画についてや特にフィリピンへの投資について話し合いをしてきました。日本の企業 がフィリピンとのビジネスを促進するにはどんな問題を解決していくことが大切なの かを。

クムスタ: 今、アジアにはカンボジアやベトナム、中国といった新しく世界市場に 登場してきた国々が安い労働力を武器に投資を奨励していますが、そうした国と競争 していかなければなりませんが…。 大使: もしもみなさんが安価な労働力を求めているのなら、どうかフィリピンに来 ないでいただきたい。しかし我々は質の良い、経験のある労働力があるのです。ほか のベトナムやカンボジアなどほかの国々には見られないほど、十分に教育された人材 がそろっています。

▲ビジネスマン・オブ・ザ・イヤー▼

AMBASSADOR YUCHENGCO クムスタ: ところで1992年に大使はフィリピンでベスト・ビジネスマンという賞を受 賞されていますが、92年といいますとフィリピンの経済が好転した節目の年です。そ の年に受賞されたというのは、何か特別な意味があるように思うのですが。また実業 界から大使に転身されて、何か変化はおありですか?

大使: ちょうどその年に受賞候補者がいなかったからでしょう(笑)。まあ、フィ リピン経営協会というのは主に経営者によって出来ている団体ですが、毎年その年に 最も活躍した財界人を選んで賞を授与しています。私はいくつかの企業に携わってい ましたので、困難というとそうした仕事を辞めて大使になったということでしょうか。

 それと92年のラモス政権からフィリピン経済が変化してきました。大統領が選出さ れてから、国の目標として経済の好転をめざしてきましたし、GNPをアップさせるこ と、一人当たりの所得の向上、そしてインフレの抑制、貧困の減少を掲げてきた成果 が出ていると思います。

▼日比交流ユチェンコ研究所所長としての顔▼

クムスタ: 大使は経済人として大使として活躍されてきた以外に、日比交流の面で いえばご自身でユチェンコ研究所を設立されて日本とフィリピンの相互理解に貢献さ れてきています。このユチェンコ研究所のめざすものはどういったものですか?

大使: これは早稲田大学とデラサール大学とのジョイントベンチャーです。ご存じ のようにデラサール大学というのは商業の面でフィリピン一の大学ですし、東南アジ アではナンバーワンのビジネススクールです。私がそのなかのユチェンコ研究所の会 長をしていますが、早稲田大学の梅村理事が副会長、またデラサール大学のアンドリ ュー・ゴンザレス学長も理事ですし、シーザー・ビラルタ元首相も理事として加わっ ています。

 この研究所の主な目的というのはフィリピンと日本の関係を学び、それを促進して 相互理解を深めるためのものです。幸運にもフィリピン政府も日本政府も全面的に支 持をしてくれています。2年前に創設されたものです。

 そこでは多くのフィリピン人が日本研究を行っています。デラサール大学にも日本 に関するコースを学んでいる学生がたくさんいますよ。1年半前、皇太子妃のお父上 である小和田国連大使が私たちの研究所に来られたときにも、学生たちが日本語と英 語とタガログを交えて質問をしてくるのに大変驚いておりましたね。とても感激して いました。

 この研究所は学校とは違って、比日関係を促進することです。ですから二つの大学 の共同事業になっています。学生に講演をしたり、4月には京都で理事会が行われま すがそこでは「未来の比日経済協力委員会会議」が開かれます。活動はそうしたもの が主になっています。

▼日比ファミリーの誇り▼

クムスタ: ところで昨年は日比カップルの結婚が6800組を超え、総計で5万組を超え たと言われています。それぞれ結婚し子どもを産み、将来はこうしたファミリーがフ ィリピン投資に貢献するのではないかと言われています。両国の架け橋ともなる日比 ファミリーに対するフィリピン政府の政策というのは何か準備されているのでしょうか?

大使: 私の知る限りにおいて、そうした特別の政策がフィリピン政府にはまだない だろうと思います。しかしアメリカなどでは多くの人種で国が出来ており、また国際 結婚、人種間結婚を奨励しているのが、社会の流れになっています。ですから日本も 国際結婚にたいして奨励することもできるだろうと思います。フィリピン政府として は、国際結婚は大歓迎ですからね。

クムスタ: 日本では最近、フィリピーノたちが地方の自治体などの国際交流に参加 し、フィリピンの文化や国を積極的に紹介しています。こうした活動についてどう思 われますか?また日本人と結婚したフィリピーノたちに何かクムスタを通してメッセ ージがおありでしょうか?

大使: 日本の人々の国際交流活動にフィリピン人が参加したり、フィリピン人の活 動に日本人がどんどん協力しあうのは好ましいことです。感謝しなければいけません。

 日本人との結婚について私個人のことで言えば、息子が日本に留学していたのです が、残念ながらまだ結婚していないのです。日本人女性を妻にしてほしいと熱望して いたんですが(笑)。最近は日本人男性がフィリピン人女性と結婚するケースが多い のですが、私個人のことで言えば、わが家で日本人の妻がはやく見たいところです。 かつては日本人女性は妻として最高だと言われていましたが、もう変わってしまった んでしょうね。ちょっとアメリカナイズされ過ぎてしまったんでしょうか。

 ともかく日本人と結婚したフィリピン人たちにとって一番大切なことは、たった一 人の行動であってもそれがすべてのフィリピン人の評判になるということです。です から、読者の一人一人が「フィリピン人」だということです。日本に生活するフィリ ピンのすべての人に、どうかそのことを忘れないで欲しいと言いたいですね。日本の 人たちに尊敬されるようにすることが、私の願いです。誇りをもって胸を張っていて ほしいですね。

クムスタ: 大使、お忙しいところ、ありがとうございました。


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