[Pilipino].[Hapon]

TITLE LOGO フィリピン政府推奨の「日本人永住大計画」のすべて

Talagang Maninirahan Ako sa pilipinas!
Ang Kabuuan ng Philippine Retirement Authority


 あなたがまだまだこれからの20代でも、仕事が面白くてたまらない30代でも、そし てそろそろ将来を真剣に考えはじめた40代でも、日々のせわしない仕事やギクシャク した人間関係のしがらみから解放されて、50代以降は少し深呼吸してゆったりと自分 らしく生きたい…と思ったことありませんか。
 今、フィリピン政府は日本人などに向けて、退職後の生活をフィリピンで過ごすた めの「PHILIPPINE RETIREMENT PROGRAM(退職後フィリピン永住計画) 」を提案している。
 これはフィリピンの国家プロジェクトとして、大統領直轄のフィリピン退職者対策 局(PRA)を発足し、退職産業をフィリピンの主要産業のひとつに育てようという 計画である。老人や障害者に対するあたたかなケアを、当然のように受け入れる文化 と伝統のあるフィリピンで、退職後の生活をゆっくりと送ってみませんかとフィリピ ン政府が世界にむけて呼びかけているものだ。

 5万ドルを定期預金に6か月。
    利子は年6・5%


 このPRAプロジェクトは「基本的に50歳以上のリタイアした外国人を対象に会員 を募り、5万USドルを指定された銀行に振り込むことで、永住の資格を与える」と いうものである(35 歳〜49歳でも会員になれることになったが、その場合の投資金は 7万5000ドル。以下同じ) 。

この手続きについてだが、まず応募者は、以下の書類を提出する。
1-- 規定の申込み書で入会の申込み
2-- 戸籍抄本
3-- 日本あるいはフィリピンの国家捜査局の 無犯罪証明書
4 --フィリピンにある指定の二つの銀行宛て に投資金として5万ドルを振り込んだ 振り込み証明書。
5 --写真(合計18枚)
6 --夫婦の場合は婚姻証明書。
7 --医師の健康診断(これはAIDSと結核 が中心)を受ける。
   こうして会員になると、いくつかの特典が得られる。

 この5万ドルの投資金は、現地の自分の口座に定期預金として預けられ、6か月経 過すれば住宅取得資金や投資のために使うことができるものだが、たんなる生活費と して切り崩して使うなどの一般消費は認められていない。つまりフィリピンとしては 、永住ビザなどの特典を与える代わりに、この定期預金によってフィリピン国内に投 資をしてもらおうというものである。

 このPRA計画の日本でのマーケターとして、フィリピン政府から委託された代理 業者である株式会社フォレスト・カンパニーの塚田庄之進氏は、このプログラムのメ リットについてこう話す。
「預けるお金の使い道は、建築資金や土地のリースとかコンドミニウムの購入などの 住宅取得のため、あるいは株式投資やゴルフ会員権の購入、新規投資などであること が条件です。
 この定期預金はPRA(フィリピン退職者対策局)に一旦は振り込まれますが、入 金を確認して使途を明らかにすれば、すぐに自分の口座が作れますし、この利息はド ル建ての場合、現在は6.25%の利息がついて、おまけに無税ですから、円高の今はチ ャンスではないでしょうか」
 日本で預金するより利息は高いし、ドル建てでペソで受け取るから安心。おまけに 永住ビザが取得できてフィリピンとの往復が簡単にできるというわけだ。
 現地での滞在期間に制限はないし、他の国の場合のように年間で最低何日の滞在が 必要…といった義務もない。とりあえず取得しておいて、老後をゆったりと過ごすこ とも可能なシステムである。


これまでに194人が会員に。


 それでは現在、何人ぐらいの日本人がこのPRAプログラムに参加しているのだろ うか。マニラの日本大使館の並びにあるフィリピン退職者対策局のバーネット・ウマ リ・パコ局長に話を聞いた。
「このプロジェクトは世界中から投資者や永住者を募ろうと85年のマルコス大統領時 代に創案されました。次のアキノ大統領がそれを押し進め、今のラモス大統領のもと でさらに積極的に推進している計画です。

 今年の3月中旬までに、世界の52か国から2625人の会員が登録しています。一番多 いのは台湾で、次が中国、中国系香港人、イギリス籍香港人と続き、第5位が日本人 の皆さんで 194人と全体の7・4%ほどに上っています。
 このプログラムによって、これまで8400万ドルがフィリピンに投資され、最近では 日本人の関心が高まっています。わが国としては、年寄りに優しい国民性や同じアジ アの価値観を共有した日本の方々に、さらに理解をしていただき、より多くの人々に 参加していただきたいと思っています」
 こうしたフィリピンへの投資や企業などの進出もここ数年の国内秩序の安定や安全 性の改善、あるいは社会資本の拡充によって、飛躍的に伸びてきている。  在日フィリピン大使館広報官のJ.ヒメネス氏は言う。

「NHKテレビや新聞などで紹介されたことによって、フィリピンの退職者プログラ ムは日本の人にも関心を集めています。このプログラムは個人による投資や、永住の 促進をはかるものですが、一方、企業の進出についても、とくにこれまでフィリピン に進出していた企業が、今、その規模の拡大を進めています。
 つまりこれまでの実績や経験から、『もっとフィリピンでの投資を増やそう』と判 断されているわけですから、『経験のある企業がさらにフィリピンに投資を決めた』 という点で、注目に値すると思われます。

 例えばスービック開発でもこれまで1件しかなかった日本企業の投資が、ここにき て15件が進出することになりました。マニラ周辺には民間の工業団地もいくつも建設 が進み、あらためてフィリピンへの投資が注目されています。
 こうした状況ですから、個人の日本のかたも安心して、このプログラムを選べるの ではないでしょうか」

 こうして、フィリピンが国を挙げて取り組んでいるPRAプログラムだけに、日本 での関心も高まっている。
 老後の生活について情報を収集し海外生活を勧めている日本の財団法人・ロングス テイ財団が、世界各国でのリタイア後の住まいを紹介するイベントを行ったが、その 折りも「永住権」がとれて(フィリピンだけの制度)生活費が安いと評判をとり注目 を浴びたという。


退職生活者が3割、
  フィリピーナと結婚した人3割
  残りは投資


 こうしてフィリピン側の環境が整ってきたなかで、それでは実際の応募手続きなど はどのように進めればよいのだろうか。
 日本の窓口であるフィリピン大使館観光省のセクション・チーフ横山泰彦氏は、 「日本での申込みに関する手続きは、すべてマーケター(政府登録の代理募集業者) にお任せしているのが現状です。大使館としては情報を提供するだけで、問い合わせ や実務についてはマーケターに問い合わせていただいています」

 政府観光省も、実際は多忙と職務の煩雑さを避けるため、公認のマーケターを紹介 するようにしているという。日本で唯一のマーケターとして、PRAプログラムの募 集や手続きを代行してくれるのが東京・目黒にある株式会社フォレスト・カンパニー (03-3490-7865)。これまで日本人向けに退職者永住プログラムを勧めてきた前出 の塚田庄之進氏は、
 「これまで約200人の日本人がこのプログラムで永住ビザをとりましたが、その3 分の1はリタイアした退職者で、3分の1が妻にフィリピン人を持つ日本人です。

 フィリピンの女性と結婚したからといって、すぐに永住ビザをとれるわけではない ですから、将来的にフィリピンに家を持ちたいと考えている日比カップルはこのプロ グラムで永住ビザをとっておこうという考えですね。

 私どもは1991年にPRAの公認を受けたマーケターとして活動していますが、下見 のための視察ツアーも随時募集していて、5人ほどの希望者が集まった段階でツアー にお連れしてPRAの局長との懇談や、現地の施設の案内、すでに永住されている日 本人の家庭を訪問したりして、下準備をしていただいています。

 去年はこうした視察ツアーで9人のかたが永住されましたし、30人のかたがビザだ けとって将来に備えています。35歳からメンバーになれるため、若い方で日本で家を 持つのをやめて、フィリピンに永住しようと考えている方が増えました」

 もちろん個人でこのPRAプログラムに募集できるが、こうしたマーケターを通す と、手数料20万円ほどで、手続きをスムースに代行してくれたうえ、日本人向けの居 住用のタウンハウスや分譲地を紹介している。

 このほかにも現地の新聞や広告にはいくつものマンションや土地などが掲載されて いるが、いずれもマニラ近郊で、値段によって広さや条件に違いがある。もちろん、 PRAで永住ビザをとったからといって、こうした施設を購入しなければならないこ とはない。マニラでマンションを買うもよし、奥さんや知り合いの紹介で家を建てた り、自由に投資することもできる。マーケターはあくまでも、この永住ビザを取得す る手続きを代行し、不動産物件を紹介してくれるのだ。

 ただ、現地に友人や親戚がいない場合はなかなか勝手がわからず、先輩の永住者に アドバイスをしてもらったり、身近で交際できる日本人がいたほうが良いと考えるの もまた事実。そんな人は、経験豊かなマーケターに相談するとよいだろう。

5人暮らしで月12万円


 それでは最後に、去年永住を実行した小松崎憲子さん(68歳)の話を聞いてみよう。 「私の場合はフィリピンに異母兄弟がいて、よく遊びに行ってたんです。『そんなに よく来るなら、永住しちゃえば…』と言われてPRAを教えてもらいました。5月に 視察ツアーでやってきて、すぐに決めました。 東京で小学校の教師を45年やってい て退職したので、好きなことをしたいと思っていたし。今はダイビングをやったり、 英語を勉強したり、ゴルフや念願だったフラメンコも始めました。年金暮らしでもこ っちならそれができるんです。

 身内が少ない人や子供が面倒を見てくれない人には、ここなら楽しくて安心してい られますよ。フィリピンの人は親切で面倒見がいいですから。お金がすべてじゃない けれど、とにかく生活費が安いし、メードさん二人と運転手さん、それにいとこと5 人暮らしで月に12万円ぐらいかしら…」
 と、小松崎さんは悠々自適のリタイア生活を送っている。今では先輩永住者として 、視察ツアーのときなど個人的なアドバイスもしてくれる。

 これがPRAプログラム(フィリピン退職者永住プログラム)の全体である。さて 、フィリピンに関心をもっているあなた。将来をどうやって過ごしたいですか? 日 本人の老後を考えるとき、決定的に欠けるものはきっと、年寄りという人生の先輩に 対する尊敬の心ではないだろうか。年寄りの生きる知恵や人生の豊かさから学ぶ回路 が、日本という国では、ずいぶんと昔に切れてしまったようにみえる。でも、このフ ィリピンにはまだまだしなやかに残っているように思えるのだが…。



★問い合わせ先
●フォレストカンパニー Tel 03−3490−7865
●エリジィム      Tel 045−322−7555
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