私たち人間と、イルカ・クジラの共通点は何でしょうか。肺で呼吸すること?ほ乳類であること?…でも、最も大きな共通点は、共にこの「地球」という惑星(ほし)に生きていることではないでしょうか。
 みなさんは毎日の生活の中で、自分が「地球に生きている」ということを感じることがありますか…?ひょっとすると、わたしたち人間とイルカ・クジラとの最も大きな違いは「地球に生きている」ということを、どれだけ感じて生きているか、というところにあるのかもしれません。
 毎日の生活の中で、自分が「イルカ・クジラと同じ地球に生きているんだ!」と実感できる瞬間がたくさんあればいいですよね。
 ニューズレター・ポッドがお送りするシリーズ「地球に生きること」。毎回身近なものごとをテーマに、「地球に生きること」を感じながら生活するためのヒントを提案していきたいと考えています。

シリーズ「地球に生きること」。第3回のテーマは「太陽(お日様)」です!

お日様を拝む
 もうすぐ3月。いよいよ春ですね。とはいえ、結構寒かった今年の冬。北風ぴゅーぴゅーの道を歩いていると、「早くぽかぽかのお日様を拝みたいよぉ〜」なんて思わず呟いてしまうのですが…。
 考えてみると「お日様」って、「お=御」も「様」も付けていて、とても丁寧な呼び方ですよね。しかも「拝みたい」なんて、神さまか何かみたいです。
 毎日同じようにのぼり、同じように沈んでいく太陽。ビルの中で仕事をしていると、お昼休み以外に、ちゃんとお日様を拝むことなんて少なくなりがち。そのせいか、あまり太陽のことなんて考えてみることも少なかったりするんですが、こんな寒い冬や、長雨の続く梅雨の時期が来ると「いなくなって、初めて分かる、お日様のありがたみ」って感じもありますよね。

たくさんたくさんお日様の恵み
 寒い冬には、晴れた日の日溜まりや、お日様に干した布団は、とてもとてもありがたいもの。本当に「お日様ありがとう」って感じです。
 それ以外にも、洗濯ものがパリッと乾いたり、最近では、太陽熱で、お風呂を湧かしたり、太陽電池で電気を起こしたりと、冬じゃなくても、私たちは日常生活で結構お日様のお世話になっていますよね。それに、私たちの食べる野菜や果物やお米もお日様の光を浴びて育っています。
 電気もガスもない時代の人は、そうした太陽のありがたみを今の私たちよりもっと強く実感していたはず。みなさんのおじいさん、おばあさんに聞いてみて下さい。中には朝起きると先ず、お日様に手を合わせるという人もいらっしゃるはずです。本当に「お日様を拝む」のです。
 あんなに遠くにあるのに、こんなに身近に、たくさんたくさんお世話になっている太陽。私たちが地球に生きていることにいろいろな面で関わりの深いものなのです。実は、太陽は直接わたしたちのココロとカラダにも影響を与えています。 

お日様を浴びると…(日光浴)
 晴れた日に、広い芝生や砂浜でゴロゴロしたり、お日様に向かって伸びをして「ふあーっ」と深呼吸すると、気持ちいいもんですよね。(私は雨や曇りの日のほうが好き、なんていう人もいるでしょうが…)
 「晴れ晴れとした気持ち」なんていうのはまさに文字通り。でも太陽が元気にしてくれるのは、私たちの心だけではありません。

   ヨーロッパの人たちには、バカンスという習慣があるのをご存じだと思います。夏の1〜2ヶ月間を暖かい地中海などでゆっくりと過ごすなどというのは、短い夏休みに山へ海へと狭い日本を大移動する私たちにとってとてもうらやましいものです。しかし、このバカンスという習慣は、実は単にのんびりするためのものではないそうです。
 ロンドンやパリなどに行かれたことのある方はご存知かと思いますが、ヨーロッパというのは、イタリアなどの南ヨーロッパを除けば、かなり寒く、しかも曇りがちで、日本などに比べると随分、お日様の光を浴びることが少ないのです。
 そうした日のあまり射さないところで暮らしていると、カラダにも良くないことがあるのです。
 ビタミンDという栄養素は、私たちのカラダに必要なカルシウムをカラダに吸収し、固定しやすくするという大事な役割をもっています。さらに、このビタミンDが不足するとカゼを引きやすくなるとも言います。そして、このビタミンDは、太陽の光を浴びることで私たちのカラダに生まれてくるものなのです。
 普段、サンサンと降り注ぐお日様の光を浴びることの少ないヨーロッパの人たちは、夏の時期にしっかりとお日様を浴びておかないと、ビタミンDが不足して、寒い冬を元気に過ごせないというわけです。
 日本でも、まだまだ寒い春先の晴れた日などに、半袖に短パンで公園に寝そべる欧米の人を見かけることがあります。
 「ガイジンは元気だなぁ。やっぱり肉を食べてる奴等は違う」などと感心したりしていたのですが、どうやらそれは全然検討違いだったようですね。晴れた日のお日様は、ビタミンDという栄養素を生み出して、私たちのカラダに直接良い影響を与えてくれているのです。
 ヨーロッパの人たちがゆっくりとお日様の光を浴びる「日光浴」はそんなカラダへの影響から来ている習慣なのです。

お日様を浴びすぎると…(日焼け)
 私たち日本人が海水浴場や、南の島で、ここぞとばかりに真っ黒になる「日焼け」は、この「日光浴」とは根本的に違いますよね。晴れ晴れというよりはクタクタなんて場合もあるでしょう。
 オゾンホールの話しを聞いたことのある方もあるでしょう。
 地球をすっぽりと包んでいるオゾンという物質の層は、太陽から届く有害な紫外線を跳ね返し、キレイな光と、暖かい赤外線だけを地上に届けてくれています。しかし、冷蔵庫などの冷却剤に使われたフロンという物質が、このオゾン層に穴を開けてしまい、太陽光線の紫外線が必要以上にこの地上に降り注ぐことになりました。その結果、皮膚ガンや白内障が増え、わたしたちの免疫機能を弱めているということです。しかもこの紫外線の増加は、作物の収穫や魚の数を減らす原因にもなっています。これまで、南極に近い南米の国々など一部の地域の話とされていましたが、今や日本でもかなりその影響が出ているとのことです。
 健康のために「日焼け」なんてのは間違いで、やはり健康のためには「日光浴」なのです。

はみだし:「キレイ」と「暖かい」は同じお日様のおかげ
 「ここ南氷洋は変わらず白と黒の世界です。ここにいるとクジラが黒いわけが分かる気がします。」フリッパー1月号に届いた菱井徹さん(B-0291、現在、南氷洋で捕鯨船に乗船中)のメッセージから引用させていただきました。
 そういえば、極地の生き物はシロクマや、アザラシや、ペンギンなど白黒のものが多いですが、赤道へ近づくほど、だんだんカラフルな生き物が多くなりますよね。
 日本は南北に長いので、例えば北の日本海側の海で見られる魚が、どちらかと言えば「キレイ!」というより「おいしそう…」なのに対して、沖縄などで見られる魚は青や赤やシマシマで実に色とりどりです。花の色なども似た傾向があります。
 これは地球の傾きにより、緯度によって、届く太陽の光線の量が違うせいです。(理科で習ったでしょう)太陽の光は、虹を見れば分かるように、実にいろいろな色が幅広く混ざりあっています。実は太陽を浴びて暖かいと感じるのは、太陽の熱がそのまま届いているのではなく、赤外線という光のせい(目には見えませんが)なのです。

春だ。お日様を浴びて深呼吸しよう。
 「子供なんだから、家でゴロゴロしていないで、外で遊びなさい」。子供のころよく言われませんでしたか?
 これも、考えてみれば、母親がうるさい子供を外へ行かせるためだけでなく、お日様を浴びることがココロとカラダの健康にいいことだ、ということも含んだものなのではないでしょうか。
 夏のまぶしい陽射しもいいものですが、これから春先のぽかぽかはとても幸せになれますよね。しかも、梅雨のある日本では、春は結構あっと言う間に過ぎていってしまう短い短い季節です。
 だからこそ、おとなだってお日様を浴びてみましょう。晴れた日は外へ出て、お日様に向かって大きく深呼吸してみて下さい。全身でお日様を感じて下さい。お日様にてを合わせるおじいさん、おばあさんの気持ちも、未だ寒いのに半袖で寝そべるガイジンさんの気持ちも、水面を跳ね、その背中をきらりと太陽に輝かせるイルカの気持ちも(?)、きっときっと分かるはずです。(編集部/大下英知、稲垣誠二)

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