カスパロフ氏対ディープ・ブルー 試合のルール
ゲームプログラム解説特別観覧席ディープ・ブルー

ゲームは以下の要領で行われました。





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1. 試合はICCA主催で行われます。

2. ゲーム数とスケジュール

◆ 試合は6つのゲームからなり、6ゲームをすべて行います。プレーヤーはゲームに勝つと1ポイント、引き分けなら0.5ポイント、負けると0ポイントを獲得します。試合終了時点でポイント数の多いプレーヤーが勝ちです。両方のプレーヤーが3ポイントずつ獲得した場合は、引き分けとなります。

◆ すべてのゲームは、フィラデルフィア時間で午後3時に開始されました。

第1ゲーム 1996年2月10日 
第2ゲーム 1996年2月11日 
第3ゲーム 1996年2月13日 
第4ゲーム 1996年2月14日 
第5ゲーム 1996年2月16日 
第6ゲーム 1996年2月17日 

◆ どちらのプレーヤーもゲームの延期を求めることはできません。いずれかのプレーヤーが上記のゲームのどれかを行わない場合は、そのプレーヤーはそのゲームに対する権利を失います。

プレーの進度と試合用の時計

プレーの進度は、一方のプレーヤーの時計で最初の2時間に40手、次の1時間に20手、そして各プレーヤーごとに追加の30分で残りすべての手を打ちます。それぞれの区間で余った時間は、次の区間に持ち越されます。

試合に使用する時計の選択権はカスパロフ氏にあります。しかし、時計に欠陥があったり、同じタイプの時計で交換できない場合は、ICCAが別のタイプの時計を選択する権利があります。

表彰式と賞金

賞金の500,000米国ドルを勝者と敗者で8対2に分けます。スコアーが3対3の場合は、カスパロフ氏とディープ・ブルーで賞金を均等割にします。

ゲームの実施方法

ディープ・ブルーの操作は、IBMが派遣するオペレーターが行います。

カスパロフ氏が望む場合は、オペレーターがチェス・テーブルを挟んでカスパロフ氏と向かい合って座ります。ディープ・ブルーの番のときは、オペレーターは自由にテーブルを離れたり移動してもかまいません。しかしカスパロフ氏の番のときは、カスパロフ氏が望むならば、ディープ・ブルーの番になるまで、オペレーターはテーブルを立ったり移動することはできません。

カスパロフ氏の番でなければ、IBMの指示でゲーム中にオペレーターをいつ何回交代してもかまいません。

ディープ・ブルーに技術的な欠陥または問題が発生した場合、カスパロフ氏の番でなければ、オペレーターはカスパロフ氏を妨害しない形で、任意の人と相談することができます。

ディープ・ブルーの番のときは、技術的な欠陥(以下で説明する電源障害の場合を除く)によってディープ・ブルーが適切な手を打てなくても、ディープ・ブルーのチェス時計は常に動いていなければなりません。

カスパロフ氏が手を打ったら、オペレーターは専用の装置を使ってディープ・ブルーにその手を伝えることができます。この装置はカスパロフ氏の集中力を妨げないように動作しなければいけません。

ディープ・ブルーが手を打ってその手をオペレーターに知らせたら、オペレーターはディープ・ブルーの手をチェス盤上で指してから、チェス時計のディープ・ブルー側を押します。

オペレーターがカスパロフ氏の手をディープ・ブルーに伝えるときやディープ・ブルーの手をチェス盤上で指すとき、誤った情報を知らせたり誤った手を打つと、この誤りが発見されたときに誤りを犯す直前の位置がチェス盤上に設定され、プレーヤーの時計時間が調整されます。プレーヤーの時計に示される時間を審判が決定できる場合は、審判が時計を調整します。しかし、審判にこのような決定権がない場合は、誤りが発見されたときに各プレーヤーの時計に示される時間に比例した時間が各プレーヤーに割り当てられます。各プレーヤーに割り当てられる時間は、誤りが犯されたときまでにプレーヤーが指した手の数を、誤りが発見されたときまでにプレーヤーが指した手の数で割った割合に比例します。

カスパロフ氏とオペレーターは、少なくとも60手まではゲームの進行を記録しておかなければなりません。60手以降は、希望に応じて記録します。ディープ・ブルーのオペレーターは、各ゲームの終了後1時間以内にコンピューターで出力したゲームの記録を審判に提出します。

ディープ・ブルーの番のとき、コンピューターが一方または両者のチェス時計の残り時間についての情報を要求するならば、オペレーターはディープ・ブルーにその情報を伝えることができます。

ゲーム中にディープ・ブルーが正しく動作できない場合(有効な手を受け付けられない場合など)は、オペレーターはチェス盤上の現在の位置と状況、両者の時計時間、およびプログラムが要求する他の情報をコンピューターに設定することができます。ただし、これらの操作を行うことができるのは、カスパロフ氏の番でないときだけです。

ゲーム中はいつでも、ゲームに使用しているコンピューターのハードウェアとソフトウェアの一部、またはすべてをIBMが交換することができます。ただしこの作業は、カスパロフ氏の番でないときに、ゲームの実施会場内で行わなくてはなりません。

オペレーターはディープ・ブルーに代わって、引き分けを申し入れたり、引き分けまたは投了を受け付けることができます。オペレーターはこれらの処置をとるときに、ディープ・ブルーと相談してもしなくてもかまいません。

開会式で、カスパロフ氏がくじを引いて第1ゲームの色(先攻・後攻)を決めます。第2ゲーム以降は、白と黒を交互に替えて戦います。

チェスの決まりとその解釈についてのすべての問題(1.5.1節から1.5.14節で説明した問題を含む)について、最終決定は審判の判断に委ねられています。

審判

審判はマイク・バルボ氏です。バルボ氏が何らかの理由で審判を務められない場合は、ICCAが独自の判断で代理の審判を指名することができます。ただし可能な場合は、ICCAがプレーヤーまたはその代理人と相談して、代理の審判を選ぶようにします。

公式ルール

ここで説明したルールは、カスパロフ氏とIBMの間で交わされた契約の公式ルールをまとめたもので、読者が理解しやすいように書いてあります。

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