シンガポールは基本的な通信サービスの高い普及率を達成した他、数々の革新 的な付加価値サービスの導入においてＡＳＥＡＮの中でも先行している。また、 シンガポールは、長期ビジョンの明確化、効率・品質・市場動向の重視、新技 術の導入と応用を通じて、サービス提供能力、高度サービスの種類、価格競争 力、顧客満足度のレベルにおいても、世界で指おりのランクにある。さらに、 シンガポールは近年、ＳＩＴＡ、ＳＷＩＦＴ、ロイター、テレレートといった 国際通信サービス提供業者や多国籍企業ユーザーにとっての主要な地域通信ハ ブとして台頭してきており、国際通信市場での一層のシェア獲得に向けてさら に国際化を推進している。

将来的な需要にも対応するため、シンガポールは国内網の完全デジタル化、光 ファイバー及びＧＳＭデジタル移動体通信網の国内全域カバー化の他、海底ケー ブル建設と衛星地球局の追加など、国際網の拡充にも多大な投資を行なってい る。ＶＡＮサービス市場はさらに自由化される可能性があり、９４年にシン ガポール・テレコムの株式は公開され、シンガポール放送協会も今後民営化され る計画がある。

１９９２年に発表されたＩＴ２０００という新発展戦略のもと、政府は新しい 国家情報インフラストラクチャー（ＮＩＩ）の確立により、シンガポールを完 全にネットワーク化されたインテリジェントな島に変えるという壮大なビジョ ンを策定した。このビジョンを実現するためには、技術進歩への対応、国際化 や地域競争の増大への対応、規模の経済と潜在的な独占的非効率とのバランス、 規制と市場参入とのバランスといった多くの課題を解決していく必要がある。