フレッド・クニー(Fred Cuny)

 1995年の春、チェチェンをめぐる二つの勢力に殺された男がいた。彼の名をフレッド・クニーという。フレッドはテキサス出身のアメリカ人で、災害援助におけるエキスパートだった。彼はビアフラや、クウェート、イラク、ソマリア、ボスニアといった国々を回り、政府の委託コンサルタントとなることも多かった。
 停戦合意をもたらすべく訪れたチェチェンで、彼は亡くなった。ロシア側勢力は彼がスパイであるという情報操作を行い、チェチェン側勢力はそれを信じ、彼を殺した。

 フレッドには飛び抜けて明確に状況を理解する才能があった。たとえ数百万もの難民が空腹を抱えている国に到着したとしても、彼は一瞥のもと、すぐさま最も効果的な方法を考え出したことだろう。

 ウィリアム・ショークロスは『ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス』11月30日号の「我らが時代のヒーロー(A Hero of Our Time)」という記事の中で、「彼の洞察力は美しいまでに率直かつシンプルで、他のだれもが及びもつかないような明晰さを持っていた」と書いている。
 たとえばある国で、彼は救助物資の毛布の空輸をやめるよう提言した。その国では毛布産業が危機に瀕していたからだ。そのかわりに彼はトリックを使った。必要な毛布を現地の工場に発注したのである。

 また、他の国々でも都市に食料を空輸するだけでは、地方の住民は流出し、農業は荒廃するばかりであると指摘した。飢えた人々は地方を捨て、空港に近い都市にある難民キャンプに殺到するからだ。この場合は食料を地方で分配し、同時に農業へのてこ入れを行った。サラエボでは払い下げの、あるいは借りてきたスクラップ同然の資材を使って水道管を建設し、市の大部分に供給できる水を確保した。

(上記参照文は"The Ethical Spectacle", http://www.spectacle.org/196/cuny.htmlから抜粋)

 フレッド・クニーに関するより詳しい情報は、文中のウィリアム・ショークロス(William Shawcross)の記事、"A Hero of Our Time"(http://www.reliefnet.org/doc/cuny.html)をご覧下さい。

 また、ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)が6月26日に放送したニュース番組 "All Things Considered" の抄録(4分間)を聞くことができます。 (www.realaudio.com/contentp/npr/nc0626.html のページ中段、「Mike Shuster has an update on the search for Fred Cuny...the American relief expert who disappeared in Chechnya in April. Russian sources say he is alive and being held by Chechens, however there is no independent confirmation of that report」 の項をクリックして下さい)



Theme pavilion "sensorium" (go sensorium home page)
INTERNET 1996 WORLD EXPOSITION (go World Public Park) / JAPAN (go Japan EXPO home page)