新しさ/現在性の流通が、伝統/安定性そして明瞭さよりも尊重される世界において、最も厳しい規律であろう「建築」は、流動的に流通される通貨、政治、美学、科学技術、速度そしてさらに、我々の記憶を飽和状態にしてしまう膨大な量のイメージに対して、何を論争することができるのであろうか。
その答えは、建築そのものを、非常な精密性と速度で変化することのできる流動的なものにしてしまうことである。「空間」から平面、そしてグラフィックへ、さらに光へ、そしてまたもとへと・・・。これは、現代の電子環境での、過去になされたような建築的浪費の繰り返しではない。これは最も反復的で影響力の強いサイン・システム−ロゴ/イコン/指示/警告−と、空間的で符号的な可能性をもつ建築との「融合」である。
これに対する私の提案は、過剰にコード化されたサインによるランドスケープを、我々の意識、肉眼そして都市の中に浸透されたグラフィックスの本質で包み込み、このランドスケープに対応する建築をデザインすることである。空間が肉体の輪郭に従って構成されることがあるのと同様に、使用目的、取引、そしてシンボル等、我々の文化的/消費者的活動をコントロールするシステムのような他の価値システムの輪郭に沿って、その形態を構成することができる。
ギャラリー・間に構築されるスペースは、ホモロサイン断裂投影図法による地図システムから発展される。MAPの語源はSHEETであり、ただ単に領域を記録する表面という意味である。断裂投影図法とは世界を一連の切り取られた楕円によって描写した物である。ギャラリー内部の構造体のグリーンの表面は、断裂投影図であり、2次元の表面は曲がり、輪を描くことで、滑らかでありながら複雑な幾何学形態を持つ3次元を形作る。この3次元形態は、グラフィック的に構成された視覚的なコード(暗号)の世界と、ありふれたサインの世界を融合させる可能性をもった、「ワールド・シート」となる。