宮島細工(佐伯郡宮島町)

 宮島とその周辺で作られる「宮島細工」は,自然の木目の美しさをその特徴としています。
ロクロを使って作られる丸盆,茶子器,茶入れなどの挽物。木地を削り出して作られる角盆,香合, 杓子などの刳物。
そして,厳島神社や鹿,猿などの動物が彫り描かれた宮島彫り。
これらは,松,欅,桜,桑,栃などを材料としており,手入れをすればするほど美しくなるといわれて います。

 宮島細工の起源は,鎌倉時代,社殿の再建に加わった職人がその技術を伝えたことにあるともいわ れています。
宮島の物産は,主に参詣者の土産物として作られており,古くは江戸時代半ばの色楊枝などがあります。
木槌,玩具なども作られていましたが,嘉永年間(1848〜1853)小田権六によってロクロ技術が 導入され挽物が作られるようになりました。
また,同じ頃,広島に来ていた甲斐(現山梨県)の波木井昇斎から彫刻を学び,宮島彫りが出来上がり, 盆や菓子器,衝立などに風景や花鳥が描かれるようになりました。

 江戸時代の宮島は,藩が管理していたため,松や杉など勝手に切ることができませんでした。
それ以外の樹木は雑木と呼ばれ,細工物の材料として使われていたのです。
 昭和57年(1982)には,国の伝統的工芸品として指定されました。


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