一国斎高盛絵(広島市)

 高盛絵というのは,木や竹の木地製品に漆をそのまま塗り上げしたものに下絵を描き,その上に さらに漆を盛り上げて彩色し,四季の植物や昆虫を描くものです。
普通の漆器が材料そのものに彫刻し,その上に漆をかけるのに対して,高盛絵は朱漆,黒漆を厚 く塗り重ね模様を彫りだす堆朱,堆黒や漆面に針などで模様を刻み彩漆を埋めてとぎ出す存星塗り などで形を作っていくものです。

そのため,多年の錬磨による高度の技術と,一本の線もなおざりにしない細心の注意力や,塗って は乾かすという根気を要します。製作期間は,茶器,菓子器,飾り盆,硯箱,宝石箱など,小さな もので5ヶ月,大きなものになると1年以上もかかります。
漆のもつ独特の気品,華やかさ,深い味わいが他の追従を許さず,見飽きることはありません。
現在の一国斎は,約200年前の初代一国斎から数えて七代目になります。

粗製乱作を防止するため,一国斎高盛絵の技術は一子相伝とされ,現在まで引き継がれています。
 平成3年(1991)には,広島県の伝統的工芸品として指定されました。


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