広島菜漬けは,海のカキと共に,広島を代表する特産物です。
緑鮮やかな色合い,歯切れの良さが,なんともいえない風味をかもし出しています。
原料の広島菜は,慶長2年(1597)に導入されたとの通説があります。
また,江戸時代には,藩主の参勤交代に随行した安芸国観音村(現広島市西区観音)の住人が,
帰路京都本願寺に参詣し,同所で種子を入手,帰郷して栽培を始めたといわれています。
京都から移入したので,今でもお年寄りたちは,「京菜」,「平茎」と呼んでいます。
平茎は茎の形状からきた呼び名です。
広島菜は,漬け菜として,古くから親しまれましたが,今のように浅漬けで食べだしたのは,戦後の
ことです。昔は,べっ甲色になるまで,長く漬けたものを食べていました。
また,主産地の安佐南区では「餅菜」といって,雑煮の具に使っています。
広島菜漬けが,世間に知られるようになったのは,カキ船の力が大きいといわれています。
その理由は,カキめしによく調和できる材料として利用できるからです。
戦後は,贈答品として珍重され,栽培も広島市以外にも広がり,ふるさとの特産品として重要な位置
を占めています。菜巻きむすび,古漬けのお茶漬けなど,古くからの郷土食として親しまれています。
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