木製家具(広島市,府中市)

 本県の家具の生産は,広島市及びその周辺と府中市
・福山市に集中しています。広島地区は,文禄2年
(1593)甲斐(現山梨県)の武田九郎信朝が,広島で
塗装職を始めたのが創始といわれ,「府中タンス」で
知られる府中家具は,約290年程前(元禄年間),内
田円三が大阪でタンスの製造法を修得し,府中で製作
をはじめ,指物師内田富吉がその技法を学んだのが始
まりと伝えられています。
 明治以降,広島市に軍の大本営本部が置かれ,また 呉市,福山市に官公庁の地方機関が設置されるなど, 官公需が中心となって家具工業は活況を呈しました。  戦後の復興需要期には,官公需や進駐軍の大量発注 に対応するため,全国に先がけて量産化に成功しまし た。昭和30年代には,デザインや経営方式も近代化 され,また,販売網を全国に拡大するなど,地域需要 型商品から全国的商品へと発展しました。 更に,高度成長期には世帯数の増加や所得水準の向上 などによる需要量の増大と量産化技術によって,飛躍 的発展を遂げました。  現在,都市の住宅事情や輸入品の増大等により,生 産量は伸び悩む傾向にあるため,業界では見本市の開 催や住宅内装工事として建物に組み込む家具などの開 発に取り組んでいます。


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