CD-ROM鍵サービス
「miTaKaTTa」

いつでもパソコン上でお買物。
マルチメディア情報流通システム、CD-ROM鍵サービス
「miTaKaTTa」

コンピュータが急速に普及し、それとともにソフトウェアを提供するCD-ROM技術が進展。アプリケーション市場が一気に拡大しています。 このような背景から、NTTは1995年(平成7年)、大容量で安価な記録媒体であるCD-ROMを利用して情報の使用権管理や情報料回収の仕組みを提供するサービス「miTaKaTTa」をマイクロソフト社との共同で開発しました。 CD-ROMの販売会社が、あらかじめ売りたいソフトをいくつも入れたCD-ROMをつくり、例えばコンピュータ雑誌の付録などにして、パソコンユーザーの手元に届かせます。CD-ROMの情報量は600M(メガ)でフロッピの600倍、文庫本150冊分に相当し、様々なソフトを納めることが可能です。それぞれのソフトにはデモ用の部分を除いて、そのままでは利用できないように鍵(ガード)がかかっています。デモを見て、購入したいソフトがあれば販売会社の代行をしている鍵を解くセンタ(NTTテレマーケティンング(株))にパソコンでアクセスして鍵をあけてもらい、利用が可能となります。利用の仕方は、情報をコピーして買い取る方法と、ゲームをしたり辞書を引いたりなど1回ごとに料金を支払う方法とがあります。支払いはクレジット・カードで即時決済します。 わざわざお店に行かなくても、パソコン操作だけで24時間いつでも買うことができるようになったのです。また1つのソフトごとにCD-ROMとパッケージが必要でなくなったので低コスト化が図れるようになりました。 このサービスの技術的な最大のポイントは、いかにしてCD-ROM内の情報を無断で使用されたり、鍵を盗まれたりしないようにするにはどうしたらいいのかというセキュリティの確保です。 CD-ROM内の各ソフトは、それぞれ暗号化された鍵でガードされています。暗号化にはNTTが独自に開発した技術で、データを何回も繰り返して撹拌するFEAL(Fast Data Encipherment Algorithm:高速データ暗号アルゴリズム)が使われています。高速で効率よく暗号化ができるため、通信機器やICカードなどにも広く使われている技術です。 CD-ROMのソフトの暗号を解く鍵は、センタと端末との間を公衆回線を通って移動します。この移動している間、鍵が盗まれないように、さらに2重に暗号化して受け渡しに複雑な手続きを踏ませる技術「Infoket-Cシステム」を開発しました。これには複数の暗号方式を組み合わせ、手続きの最中に暗号鍵を何回も変更するという方式を用いています。 鍵をコピーして商品を開いたり、他人の端末になりすまして本人の知らない間にソフトを買うことができないように、一度使った暗号化キーは乱数によって再度使えないようにしています。 また、端末のCD-ROMドライバは、センタから届いた鍵がCD-ROMの暗号を解いている間に利用者がそれを取り出すことができないように、鍵は利用者の手が届かないアクセスプログラムのメモリの中に入るようにして、使用後は自動的に消えるしくみになっています。仮に暗号化キーの解析を試みたとしても膨大な計算が必要です。ワークステーションで2年間以上かかるといわれています。CD-ROMドライバのプログラム解析も天才的なプログラミング力が必要といわれ、事実上不可能と考えられます。 このCD-ROM鍵サービス「miTaKaTTa」は、NTTがCD-ROMの情報を暗号化する技術と鍵配送技術を提供し、CD-ROMドライバ関連の技術はマイクロソフト社が提供、開発したものです。 CD-ROM鍵サービス「miTaKaTTa」は、1995年(平成7年)5月からCD-ROMの中にインターネットのナビゲーションソフトや、スクリーンセイバ用ソフト、そして電子美術館などを入れ、雑誌や書籍につけて試験的にスタートしました。同年10月には、CD-ROM化した日本全国の地図の販売で利用されました。今後、映画、音楽、ゲーム、パソコンソフトなど、幅広い分野で利用拡大が見込まれています。 このように「miTaKaTTa」は、マルチメディアを使ったダイレクト・マーケティングということができます。CD-ROM鍵サービスによって、生産者と消費者をネットワーク上で直接つないでしまう流通チャネルが実現したのです。このサービスで活かされた暗号鍵のノウハウは、今後、インターネットや衛星を使ったサービスの展開も見込まれ、マルチメディア社会の中で、多様な使い方が期待されています。