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これは、NTTが出資している米ジェネラル・マジック社が開発した個人情報通信機器向けの基本ソフト「マジックキャップ」と通信プログラム言語「テレスクリプト」を使い、ソニーが開発した携帯情報端末を利用して体験していただいたものです。手のひらサイズの端末機に、手書きのメッセージ、音声、簡単なアニメなどをオンラインで通信できるネットワーク・サービスです。しかもメールが届いたことをポケットベルで知らせることまでします。
従来のパソコンを使った電子メールと比べて、だれでも簡単に操作ができて、バラエティ豊かな表現方法で、楽しく、楽に、いつでも、どこでも、メッセージのやりとりができるようにしたものです。つまり、これまでにない、マルチメディア時代の画期的なコミュニケーションの「道具」が登場したのです。 NTTがマルチメディア化に向けて掲げた「当面の具体的な取り組み」の4つの柱のうちの1つに「ユーザ設備系技術(ソフトウェア)の強化」があります。今回の実験は、その一環として行われました。コンピュータのダウンサイジング、高機能化などの技術革新や情報ニーズの多様化によって、情報通信分野にはこれまでになかった新しいタイプのサービスが登場し、またグローバル化も進展しています。そういった流れにある今日、NTTではサービス開発力と技術開発力をいっそう強化していくこと、さらに国際活動を広げていくことをめざして、国内外の様々な企業との提携を進めているのです。
「エージェント(代理人)」とは、テレスクリプトで記述されたプログラムが、人間の命令に従って、人の代わりとなってネットワーク上で様々な仕事をすることが可能なことから、比喩的にこう呼ばれます。たとえば「この条件に合うホテルを探して予約を入れなさい」と命令すると、エージェントはネットワークでホテルの検索をし、条件とすりあわせ、空室を調べ、予約をして、本人の手帳に書き入れるところまでしてくれます。しかも情報を安全に守る点でも高い信頼性を持っています。 このような特徴を持つエージェント通信は、ネットワーク資源であるコンテンツを柔軟に使いこなすことができるため、マルチメディアにとって重要な役割を持つものとして注目を集めています。
エージェントを実現したのは、テレスクリプトがデータ(「何々」を)とその操作(「行う」)をカプセルにしたオブジェクト指向という方式でつくられた言語だからです。末端、ネットワーク、センタのそれぞれにテレスクリプト・エンジン(テレスクリプト言語を解釈・実行するプログラム)を設けることによって、エージェント端末からセンタへとネットワークを自在に駆けめぐるかのように仕事をかたづけていきます。