ABC キルト会報

vol.5 火焔木号

横浜から１年経ちました

今年の夏は、昨年以上に厳しい暑さが続きましたが、そろそろ秋が近くまで、来ている様です。皆さんお変わりありませんか？

　横浜での国際エイズ会議から丁度１年経ちましたが、全国の皆様から届いたベビーキルトは、何と２９４枚。そのうち、ＰＴＡのお母さん達が加わって、中学校、高校生が縫ってくれたキルトは、１０７枚にもなりました。男子生徒たちが悪戦苦闘しながら、縫っている写真が添えられて、生徒達の感想文や文化祭、研究発表会の写真や報告書が同封されていたり、１枚１枚開き、見せて頂きながら、これらの若人達が実際にキルトを縫うという体験を通して、エイズを知識から認識へ咀嚼しながら理解を深め、素直に受け取っている様子を知る事ができます。御指導なさった先生方、お母様方のお力、御努力がなかったなら、１００枚ものベビーキルトは出来なかった事を思い深く感謝しています。

その他にも、全国各地から１枚１枚全部表情が違うキルトたちは、まさに、お１人お１人の心がこもったキルトで、今すぐＨＩＶ／ＡＩＤＳの子供達に届けられる様スタンバイしているところです。

　９月１７日から、タイのチェンマイで開催されるアジア太平洋エイズ会議へ福岡から１６名が行く事になり、それぞれ手に持てるだけ持って行き、会議場の展示ブースで、皆さんに紹介した後、病院、施設を通して子供達に届けて来たいと思っています。

　昨年８月以降の１年間の歩みと方向性は、横浜の国際会議からすべてが始まった様な気がします。フォーラムよこはまでのワークシヨップにエレンさんとアンさんの来日、日本のエリア・コーディネーターの任命、横浜支部の誕生、新聞、雑誌の掲載により、日本各地からの見知らぬ方々との連携、それがいつの日にか１年前にエレンさんに託された言葉通り、アジアのエイズの子供たちにＡＢＣキルトを届けられるところまで来ているのです。それは、１年前には、予想も出来なかったことでした。不思議な事ですが、自然に成るに道が出来、開けて行くのを感じるのですが、エレンさんがおっしゃていた様にＡＢＣキルトの世界は、アメイジング・グレイス。本当に素晴らしい心と心が連鎖し、響き合って創られている様です。

いよいよ９月１７日からのタイ・チェンマイでのアジア太平洋国際会議で、私たちに何が出来るかをしっかり見つけて来ようと思います。
　そして、１０月２１日から１週間のふくおか女性まつり '９５では、若い人達が縫ったベビーキルトの展示を中心にアジアのエイズについて、チェンマイでの感想を多く持ち帰り一緒に考え、語り合い発信出来る場にしたいと思います。

若い皆さんありがとうございました。（１年間で） ①都立南平高校（東京）　②高崎市立豊岡中学校（群馬）　③西福岡高校（福岡）④大崎高校（長崎）　⑤唐津市立佐志中学校（佐賀）　⑥新栄高校（神奈川） ⑦苓明高校（熊本）　⑧河浦高校（熊本）　⑨島原市立三会中学校（長崎） ⑩高崎市立第一中学校（群馬）　①高崎経済大付属高校（群馬） ①上石神井中学校（東京）

アジアのエイズ状況

　タイのエイズ患者の状況をグラフで見てみると、 '９２年７月からの２年半で、７４倍の伸びを示しています。更に最新のＷＨＯ報告（今年６月）では、19,095人となっています。エイズはその感染原因から、若者の感染率が高く、治療費の負担、働き手の喪失と家庭崩壊を招き、社会に重大な影響を与えます。タイのエイズ問題は、戦争と同じ程度に国の存続を左右する重要な課題です。

　昨年の横浜国際エイズ会議の開会式で、ＷＨＯのマイケル・マーソン世界エイズ対策プログラム局長は、東南アジア特にタイの急増ぶりを解説し、アジア各国がエイズに対し無防備であると指摘。エイズの各種経済活動、生産活動などへの悪影響を強調。特に小児への影響を指摘しました。さらに、エイズ予防の地球規模的対応策として、ＨＩＶ蔓延防止への効果的な予防・ケアを拒絶している３つの社会的要因（①拒絶　②差別　 ③力の剥奪）への対応を挙げ「弱者に対し、自分たちを守る知識を与え、それを実行する動機・力を与える環境づくりなくしてエイズの撲滅はあり得ない」と述べています。エイズは、ＨＩＶに感染して症状が発症する迄の潜伏期間が長い（平均１０年）。そして、検査をしなければ感染の有無はわからないという特徴があります。つまり、差別、偏見のない社会、検査を受けやすい環境を作らなければ、エイズの感染予防の効果は上がりません。

　タイのチェンマイで開催される「第３回アジア・太平洋国際エイズ会議」では、その対策や支援等が大きなテーマになるものと思います。私たちは、昨年の横浜に引き続いてこの国際会議にエキジビジョンブース、及びワークショップで参加し、キルトを参加者と一緒に縫いながら、ＡＢＣキルトの理念を通して、社会の差別、偏見からエイズの持つマイナス面を少なくし、正しいエイズの理解により、エイズの感染予防活動に取り組めるように、会期中に地元ボランティア、病院、施設関係者と交流を図り、ベビーキルトの贈り先のコーディネーターを見つけ、確実にベビーキルトがエイズや障害を持つ赤ちゃんに届くようなシステムを作ります。そして、この運動の拠点となる「ＡＢＣキルト・タイランド」の設立を働きかけ、社会的環境の改善を図っていけるよう願っています。

　また、アジアの子ども売春に取り組んでいる「エクパット」やタイの性産業従事者の自立を助けるために読み書き等の教育を支援している「エンパワー」、その他各国のＮＧＯ、会議参加者と「独自のフォーラム」を開催し、意見を交換し、今、私たちに何ができるのかを考えていきます。この活動を通してよりよい世界を作っていきたいと願っています。いま、日本に求められている真の国際貢献は、本当にアジアが困っている問題について、我々ができることを誠実にすることです。

　アメリカのニューハンプシャー州に住むエレン・アールグレンさんが始めたＡＢＣキルトの運動がタイの地に根づき、エイズや障害を持つ世界中の赤ちゃん達に "愛と励ましのキルト" を届ける運動が、エイズを自分に引き寄せて考え、行動するきっかけとなり、ＨＩＶ感染者、エイズ患者との共生が可能な社会づくりの支援につながっていきます。

西村　雅宏

一緒に縫おう、'９５ !!

～愛と癒しのベビーキルト～

　'９１年第１回女性まつりと共に歩きだした福岡のＡＢＣキルト活動も年々回を重ねながら着実に発展し、昨年の第１０回国際エイズ国際会議に、アメリカよりこの運動の提唱者であるエレン・アールグレーンさんを迎えて、横浜のランドマークタワーでワークショップを行いました。

　横浜でエレンさんから「アジアの中の日本で作られたキルトは、日本やアジアの多くの国のエイズや障害を持った子供たちに贈られるのが一番です。そして、その仕事をやって欲しい。きっと、多くの人たちが助けてくれるから」と託されました。

　１年経った今、この運動は、全国的な拡がりを見せており、中学校、高等学校、キルトの同好者からメッセージとともに、多数のベビーキルトが送られてきています。

あなたに出来ること

  ☆キルトとともに届いたメッセージ　裏面をどうぞ
　☆エイズや障害を持って生まれてきた赤ちゃんへ贈るベビーキ
　　ルトを縫いながら、今、私達に何が出来るかを考えましょう
　☆出来上がったキルトは病院や施設を通してエイズベビーに贈ります

　　　　　　　　とき　： '９５年１０月２１日（土）～２８日（土）
　　　　　　　　ところ：福岡市女性センター「アミカス」
　　　　　　　　　　　１Ｆエントランスロビー　
　　　　　　　　　　　　　　アミカス ℡ 526ー3755
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　主催　：ＡＢＣキルトの会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ふくおか女性まつり'95実行委員会、福岡市　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(財)福岡市女性協会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　問い合わせ 堤 524ー0631 (14:00～18:00)

Individuals Making　A Difference

～世の中をひとりひとりが変えていく～

トーク＆トーク　　　　

アジアのエイズ

☆ 報告　 ー第３回アジア・太平洋国際エイズ会議
　　　（今年９月タイのチェンマイで開催）
☆ 福岡発 ー各国のＮＧＯ、感染者との交流から
　　草の根情報、アジアのホットな情報、心の情報を発信
☆考えようー真の国際貢献とは。いま、我々に何ができるか
☆ 贈ろう ーベビーキルトの送り先のネットワーク作り
☆ 挑戦　 ー性と死のタブーについて
☆ 参加　 ー徹底討論。参加型のシンポジウム

自分の目で見て、自分の言葉でしゃべろうよ！　　　　　　　

　パネラー
　　　宇治光治（福岡県粕屋保健所所長）
　　　押川尚子（タイ在住）
　　　花田　泉（シティリビング　編集長）
　　　堤希代子（ＡＢＣキルトの会・世話人）
　　司会　西村雅宏（アジアのエイズを考える会）

　ところ：　福岡市女性センター「アミカス」４Ｆホール



　Ｓｅｗ
 　創ｉｎｇ　Ｔｏｍｏｒｒｏｗ

ABC Quilts are loveletter to the world

（授業を終えての感想）

　人間は、やはり一人では何もできないと思った。けれど、それが世界中の多くの人が同じ思いで集まるとすごい力になるのだなぁと思った。キルトで一枚作るのに時間と努力が多く必要とされる。けれど、ただの布きれより、あったかいだろうなーと思った。僕達も授業で作るわけだが、一生懸命に作って、人に喜ばれるものにしたい。

　今まで、エイズの事について病状などは知っていた。考えてみると本当に、病状の事だけしか知らなかった。現地の子供たちについて一つも知らなかった。自分が感染しなかったらそれでいい考えたくはないけれど心のどこかでそう思っていたと思う。ＡＢＣキルトのことを知ったことその活動を始めた人々についてもっと詳しく知りたいと思った。そして、子供たちがどんな思いで、一日一日を過ごししているのだろうと考え始めた。私は、病気をもっていないし。暖かい布団だって当たり前のように使っている。そして、帰る家がある。でもエイズにかかった赤ちゃん達、親を亡くした子供達には何一つとして自分に残るものがない自分を守ることのできるものがない自分を包んでくれる人もいない。
　私は、守るべき事、私達がやるべきことをこの授業で見つけられたと思う。授業だけでなく家庭でもＡＢＣキルトを作ってみたいと思う。私達にできることが見つかったので、このままにしてしまうのはもったいないと思う。何かの形で何かをしたいという気持ちがいつか世界中の人に伝わる日がいつかきっとくるといいなぁー。ＡＢＣキルトの事を知って良かった。先生ありがとう。

　キルトとか作るのは、あまり好きではないけれどこういうエイズの赤ちゃんなどに作って送るのは大賛成です。私達が授業でちょっと作ったのが他の国のエイズの赤ちゃん逹に喜んでもらえるのならいつでも作っていいと思う。今回のキルトの製作でエイズに苦しむ子どもたちが少しでも楽になるようになればいいと思う。

　ＡＢＣキルトの活動はとてもすばらしいことだと僕は思った。両親がエイズで死んでしまって、限られた生涯を病院で過ごす運命にある赤ちゃんたちのためにキルトを作って送ってあげると言う活動は本当に素晴らしいと思った。
　アメリカではコーティネーターと配送係が各州にいたり、ボランティアの人々がいたりと組織作りが活動を円滑に進めてきた秘決だということだったので日本も組織作りをもっとしっかりしてもっと多くのキルトをエイズになった赤ちゃんたちに送ってあげるといいと思う。

　私達の作ったものが、喜んで使ってもらえるのなら、喜んで私も作りたいと思った。私の周りにはウガンダみたいなところはないのではっきりとはわからないが、とても大変なことだとはわかる。
　私は裁縫が好きなので今回だけじゃなく大人になってからも作れれば作りたいと思う。将来、看護婦になりたいとおもっているし、人の役にたつことなら喜んでしたいと思う。日本にもアメリカみたいな組織ができたらいいのになぁと思った。
私も頑張って作ろうと思う。

　日本もエイズが広がっているが、今の日本では注意さえすればうつらないような環境になっている。しかし、ルワンダなどの人々は、どんなに注意してもやはりエイズにかかってしまう。そして、だんだんエイズにかかっている人々がどんどん増えている。このような国の人々のために今かかっているエイズの人々から普通の人々にうつさないように努力していくためにＡＢＣキルトは必要だと思う。そして、私達みたいな少数の人々でも援助活動ができると言うところで、やはりすごい力があると思った。
　今度は、自分達が作るので、頑張って作っていこうと思う。

　「エイズ」にかかった赤ちゃんは、タブン自分がエイズであることを知らず、親に捨てられた子供はそれが当たり前なのだと思っているだろうと思う。そしたら、子供はエイズによって命を遂げた時親のぬくもりを知らずに死んでしまったら、すごく悲しいことだし、そうさせてしまった国に自身の問題だと思う。
　キルトは、肌にも優しく、そして、一人一人の手で作られたもの、本当に知らない子供へ贈られてゆくのだけれど、それでもその赤ちゃんがこの世に生まれてきて“人の温かさは、なんて素晴らしいんダ”と感じてくれれば赤ちゃん達の一生はむくわれると思う。
　キルトを伝って自分の思いを伝えることは、人の温かさを自分も感じられることと思う。

ABC キルト会報

横浜から１年経ちました

アジアのエイズ状況

一緒に縫おう、'９５ !!

～愛と癒しのベビーキルト～

あなたに出来ること

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～世の中をひとりひとりが変えていく～

トーク＆トーク

アジアのエイズ

自分の目で見て、自分の言葉でしゃべろうよ！

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（授業を終えての感想）

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トーク＆トーク　　　　

自分の目で見て、自分の言葉でしゃべろうよ！　　　　　　　