工人体育館の付近といえば、北京で今一番お洒落な街かも知れない。
ここは大使館街でもあり、道行く人に外国人が目立つ。
最近になってお洒落なブティックやベイカリーなんかも店開きしたし、
夜には気の利いたバーやディスコ、ライブハウスも固まっていて、
大使館の職員や留学生、中国の「業界人」たちもよく顔をみせる。
一昔前の東京の青山・六本木の雰囲気を思ってもらえばいい。

その北の外れに厳冰冰のブティックがある。
紫色の看板が掛かった狭い間口の店だが、外にはテーブルと椅子が入り口の脇にはミシンがさり気なく飾られていてなかなかセンスがいい。

趙明さんにインタビュアーになってもらった。

「まだまだ中国人のファッションデザイナーというのは少ない。 特に北京では、私のように独立してお店を持っている人は殆どいないでしょうね。
私のお店はプレタじゃなくて、クチュール。
お客さんは、大使館員の奥さん方が多いわね。 彼女たちは、中国の伝統のスタイルを取り入れた私のデザインが気に入ってくれている。

中国のファッションビジネスは始まったばかりだけれど競争も激しくなってきたし、これからは大変ね。
私自身もやりたいことは沢山あるから、これからもっと研究して頑張らなくてはならないわ。」

経営の方も上手くいっているのだろう。
落ち着いた雰囲気でゆっくりした口調で話す彼女の顔には自信が感じられる。
これから、彼女のような新しい感性を持った、個性的で野心的なファッションデザイナーが輩出してくれば面白いだろう。
日本の若いデザイナーたちが80年代にパリに進出して世界へ認められたような時代が、中国でもきっと遠くない将来に来るだろうと確信した。

文:野猫







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