Cyber-Chinatown.....?

この「Cyber-Chinatown」という小さなweb-siteは、
情報のインデックスでもなければ、
有益な情報のデータベースでもない。
ふとした偶然から始まった、
internet exposionという場をつかって情報と人の関係を考えてみよう、
という活動の報告書である。

まず出遇いがあった。
北京にいる僕と、
福岡にいた写真家の彼との思いが一致し、
それに多くの友人達が協力してくれ、
また参加してくれた。
この活動は現在もなお続いている。
そしてこのweb-siteは、
完成を目指すのではなく、
幾多の変容・変化を経ながら、
何処かへたどり着く、
そういった実験的な試みでありたいと願っている。

cover-pageのことをすこし説明しよう。

OPEN DOORのマークの下には
「People」「Scene」という二つの「GATE」。

「People」をクリックすると
北京在のデジタルアーチスト王易のデザインした
顔のシンボルマークが美しい配色パターンに並んで次々と浮かび上がってくる。
この配列は、天地(※1)を表わしている。
一つ一つの顔が、リンケージのボタンとなっていて、
ここは「人」を起点とする情報、物語、つまり世界が始まりである。

「Scene」をクリックすると
漆黒の背景にポカリと開いた丸い穴(※2)から
北京の風景が広がってみえる。
手前には伝統的な四合院の壁、壁に向こうに木立と遠景に近代的なビル群。
この中には、多くのクリック・ポイントが隠されている。
この風景の中に隠されているリンクから、
さて何処の街角に出ることやら?
誰と出遇うやら?

何処かの街と人が「Cyber-Chinatown」の中では
まるで夢の中や、幼いころの記憶のように、
迷宮のようにつながってゆく。

それぞれのページの下がリンク・バーになっている。
その中央には「夢幻楽土」の四文字、
これが僕たちが捜し求める見果てぬ世界なのかも知れない。

このカバーページの構成を見て「面白い」という奴もいれば、
「不親切すぎるよ」「何故そんな風にするの」「ゲームみたいだね」
という奴もいるだろう。
まあ、いろんな人がいろんな感想をもって、
それでいいのだと思っている。

要するに、まるで自分が生活しているような感じで、
情報と人と出会うようであって欲しいということ。
そうした偶然を紡いでいって自分にとっての関係を作りだすこと、
僕たちにとってのリアルな世界とはそうしたものでしかなくて、
だからこそ毎朝目覚めがワクワクするのだ、
という感じを伝えたいだけなのだから。

次に、このリンクの構成を考える切掛けになったある作家の言葉を紹介したい。

「・・・世界の夕暮れどき、
近代の雨風に打たれて人知れぬ漂白放浪をつづける。
新しい詩人は日本的でも、
その足どりは、
いつか世界の裏街の土をたどり行く者。
その者たちが再び中国を、
また世界を書き得るのはいつの日のことであろうか。」

武田泰淳・著「黄河海に入りて流る」の