個性を重視する社会になると、明治以来連綿と続いてきた学歴社会は終わりにな る。就職には有名大学卒業の資格は必要でなく、いわゆる実力社会になっている。実力社会と言うと 何か弱肉強食を連想するが、弱者のいない共存社会であり、あたかも家庭ではそれぞれが力と能力に 応じて協力し、力のある者は力仕事をし、知恵のあるものは知恵を出して協力しているように、社会 全体としても共同体として機能するようになる。大学の街京都はここでも重要な役割を果たすことになる。学問は立身や豊かさへ の手段としてではなく、好きな時に好きな勉強をして、じぶんの知識欲を満たし、或いは生きざまの 糧にすることが目的となる。そのためにまさに生涯学習であり、学問は人生を終えるまで断続的であ れ継続的であれ、引き続いて連綿と続けられるものである。このような学問は、１２００年の都とし て育んだ文化を持ち、多くの大学をもっている京都こそオールラウンドの学問を学ぶに適した街であ り、さらに独創的な研究を支える風土の街である。　京都市を中心として、世界から人を集め年齢や 経歴に関係なく勉学・研究する街、知的生産の世界の拠点都市として、地球に生きる街となるであろ う。このことは２０世紀において日本の中心から外れ、学歴社会から外れて力を蓄えてきた京都だか らこそ新しく、日本の中での学問研究の中心なることが出来るのである。