月のムービー [QuickTime format:1.8MB]

雲居のかなたに仰ぎ見る月のような高貴な女人に思いをかけた。
それは叶わず袂に涙がたまった。
しかし思いもかけず、その涙に月影を宿すことになろうとは

西行出家の日、保延6年(1140年)10月15日は月の美しい夜であった。
月という虚空に浮かんだ銀色の天体は、私たちに「こちらではないの世界」を思い浮かべさせる。彼方の美しいもの「月」は、悲恋の相手と重なって西行のこころをとらえる。桜にむかって抜け出していく西行のこころは、冴え渡る満月にも感応する。
花・鳥・風・月、それぞれは、人のこころを「彼方なるもの」へと運ぶ乗り物だ。

はじまり