ふる〜いお寺がございました。
春には色とりどりの花が咲き、秋には真っ赤な柿の実がなる、
それはそれは美しいお寺だったのです。
でもある頃から、
夜になると女のすすり泣く声が聞こえるという噂がたち、
鬼火を見たという人が現れ、
あれは妖怪の棲む寺だと囁かれるようになりました。
そのうち、だんだんと寺は荒れ、お参りの人も来なくなり、
人の心から忘れ去られていったのでございます。