江戸っ子だってね。寿司食いねェ。なに、江戸といやァ。火事と喧嘩サ。ところで、忘れちゃア、いけねエのが何と言っても花火だよ。花火といやあ、公方様のお膝元、大江戸名物大川端に決まり。エー、大川端を知らねエ。あんた在所はどこ。今風にいやア、隅田川。尺玉がパァーと開いて枝垂れに散りかけた頃合いを見計らって『玉屋!鍵屋!』の掛け声、そこにドーンとくるネ。この間がなんともいえないネ。
 ところで、横町のご隠居に聞いたところによると、発明されたのは唐の国だってね。それが欧州に渡ってから、徳川の頃、エゲレス人がもって来たんだってね。誰が始めて見たかって。それは決まってるさ。家康公ヨ。
 さてさて、お立会い、浴衣を引っかけ、屋形に乗って、夜の川風に吹かれ豪華絢爛、百花繚乱の大江戸名物花火見物と洒落てみな。浮世の憂さなど綺麗サッパリ忘れちまうさ。サァ、乗った乗った、船頭さん、ゆっくりやってくんな。あまり揺らしちャアいけねえヨ。あっしは金槌だからネ。

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さあ!屋形船に乗って花火見物に出発でぇ〜