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八谷和彦の
アルス・エレクトロニカの1週間



9/1(日)
やあ、今日はもう9月。今日はセッティングの日なので、起きてデザインセンターに いく。会場では2人アシスタントがついてくれたおかげで、午前中のうちに陰陽マー クを作る作業はほぼ終わり、午後機械の調整などして3時頃アップ。視聴覚のテスト 中に興味を持った人にやってもらっていたら、案の定受けていた。トッド・マコーバー 関連でMITの人たちも結構来ていたみたい。作業アップしてそのままホテルにもどり 、ご飯でも食べようかと相談していたらちょうど有馬さんがホテルに到着したのでそ のまま一緒に街に食事に出かける。有馬さんが覚えていたベトナム料理屋はつぶれて しまっていたので「シンガポール」という中華料理屋で食事。一人当たり2000円 ほど。そのあとカフェでコーヒー飲んで、そのまま有馬さんのホテルに一緒にもどり 、モデムとトランスを借り受ける。タクシーで帰り、ホテルからコンピュサーブ経由 でニフティに入ろうと試みるが、全然ダメ。どうやら電話の線が四芯でそれが原因の よう。どうにも接続できないので後日有馬さんのところから挑戦することにする。ホ テルに帰りフロはいり下着など洗濯して、昨日の分も日記書いて今日は寝る。

9/2(月)
アルス・エレクトロニカ初日。今日はあいにくの雨。ぼくらの展示はないので、今日な るべくたくさんの展示を見ることを心がける。とりあえず今年完成したセンターにい き、いくつかの展示を見る。思ったより調整中のモノが多い。自分の展示にも初日に 動かないケースは多いのだが、ここまで堂々としていていいものか。笑。あと、展示 をみてもso whatな感じのものとか。実際センターの中で一番面白いと思った展示は エレベータのなかのアポロ13という床に展示してある映像だった。そのあとで藤幡 さんたちが展示をしているミュージアムの方にいく。思ったよりかなりクラシックな 建物で、ちょっとこちらでのコンテンポラリーアートの位置づけとか考えたりして。 それで実際に展示を見たりしたのだが、やっぱりSO WHATなモノが多い。鈴木さんの ThreeMen,Three legs とか藤幡さんの作品とか面白いけど、それ以外に面白いのは アルミ のBOXのボイスレコーダーの作品くらいだった。(本当はもう一つ見落としている部 屋があったが)で、IMIのひとに頼まれて伊藤譲一さんのインタビューをお願いした りしてそのままレセプションの会場に行き、シャンパンなど飲み食いする。で、花火 の作品(the SKY)を見るわけですが、これが案外良かった。地上系がほとんどだっ たけど、やはり大きな視点で見ると、火薬とPAシステムとパフォーミングはかなり長 期間かけて洗練されていて侮れないと思った。橋の上で渡された花火をみんなでシェ アしてちょっとセンチになったりして。で、雨に濡れちゃってあまりに寒かったので とっとと帰りました。

9/3(火)
初日。いきなりバッテリーが調子が悪くなってかなりあせる。とりあえずバッテリー 3つで回して初回の分の体験会を終了。バッテリー3つでいつまでも回すわけにいか ないので、ラマダホテルで自転車借りて町中まで出かけバッテリーを購入。1500 シリング、約1万5千円は大きいがしょうがない。新製品だし。戻ってきてバッテリ ーを替えてなんとか展示を終了する。ほっと一息、と思っていたら、なんと黒機が断 線。7時過ぎていたのでとりあえず今日の展示は終了し、速攻でホテルの部屋で作業 。ハンダ付け直してカバーを一回空けて、スイッチもハンダ盛りしてそのまま電源が 入るように改造。ここ数日仲良くなったWEB部門のグランプリ受賞者ETOYのパーティ ーに誘われていたんでそちらを覗いてみる。こいつら全員オレンジのジャケットにテ ィアドロップのサングラスにスキンヘッドと半分ネオナチみたいで怖いのだが、根は いいやつみたい、というかもろチーマーノリで話していて結構楽しい。でも英語であ んまり長く話すこともなくなったのでいったんデザインセンターに行き、そのあと受 賞者レセプションパーティーに行き、藤幡さんがトットマコーバーのブレインオペラ について酷評していて、あんまり酷いから見にいきな、と言われて見に行くことにす る。予想どおり、音楽としては最低。しかしビジュアル面ではまあまあ楽しめた。そ のあと藤幡さんの受賞者パーティーに行き、シャンパン2杯くらい飲んで眠くなった のでホテルの部屋に直行。

9/4(水)
視聴覚体験会2日目。今日からIAMASの馬野さん、村澤さんにもヘルプに入ってもら う。改造直後の体験会は緊張するが、特に問題はない模様。とりあえず展示の合間に ホテルの宿泊費をもらいにガブリエーレさんのところに行く。高橋さんも個別にもら うと言うことなので、夕方一緒に行くことにする。無事現金をもらって、視聴覚の体 験会をつつがなく終える。とりあえず、フランス、ドイツ、ポーランド、ブラジルの キュレーターから展覧会の打診。メールで確認するので詳細を送ってもらうことにす る。ポーランドのテレビ局の取材1件。ばんごはんは神戸芸術工科大学の森下さん、 関口敦人さん、桂さんとその学生さん、馬野さん、村澤さん、高橋さんと食べに行く 。普通の洋食屋さんだったが結構おいしかった。

9/5(木)
夕方まで視聴覚の体験会を終える。今日は車椅子の人たち(実際審査員や関係者なの だが。)が楽しんでくれたのが結構うれしかった。昨日バッテリー2本をリチャージ したのでバッテリーの調子も良くなった。グッド。夕方イタリアのテレビ局の取材 。モニタの内側がとりたいとわがままをいうので、8mmに落としてNTSC VHSで送り 、それを彼らがPAL変換することにする。面倒臭い。夜は有馬さんと大田垣さんと園 田さんと高橋さんとで食事。アルス・エレクトロニカ・センターの近くのレストランで食 事し、郊外のVOESTという工場地帯のインスタレーションに出かける。昨日からリン ツはあいにくの雨で、車で行く。知り合いのイタリア人の車とタクシーの2台で分乗 。会場はSRLの学園祭版といった感じで古着屋やバーまである。ちなみにインスタレ ーションでは火の玉が左右に猛スピードで移動するヤツが結構気に入った。気に入っ たと言えば、ここの古着屋で三ボタンのクラシックなチロリアン(オーストリアン? )スーツをゲット。300シリング、ということは約3000円。結構気に入ってい る。今日の一番の収穫はこれかもしれない。

9/6(金)
アルス・エレクトロニカ・フェスティバル最終日。今日はさすがにお客さんが少ない。適 当にこなして、とか思っていたら昼頃から徐々に増えてきた。昼に撮影をしていたら なんかロンドンから来た女の子がすごくやりたいというのでやらせたげる。小野原く んと同じネメスのパンツ履いていたから聞いてみたら原宿で買ったとのこと。今日は 飛んでいる電波が少ないせいかずいぶん調子がいい。とりあえずNO MANS LANDという 展示がよいということなので4時6時の合間にタクってアルス・エレクトロニカ・センタ ーまで行き、展示を見る。結構いい感じ。やっぱテクノクラートに似てますな。その あとまたデザインセンターに戻り最後の展示。結構人はとぎれず、最後の独りまでが んばってやる。一応7時半過ぎに撤収し、今回のインスタレーションは終了。タオマ ークかたづけて、ホテルにいったんもどり、ハウフトプラッツ広場の居酒屋という日 本料理屋でうちあげ。後から坂根さんとかIAMAS組もやってきた。熱燗とか飲んでそ のあとグラスファイバーというボーリングのピンがガラス瓶を割るというなんかアメ リカンなゲームを見学やりたかったが今日は最終トーナメントとのことだった。空気が あまりに悪かったので今日はもう撤去。タクってホテルまで。

9/7(土)
ホテルのチェックアウトをすまし、荷物をあずけて最後のリンツ観光。でもぼくは見 逃したインスタレーションもあったので美術館へ行く。藤幡さんの作品やっとゆっく りやることができて良かった。しかし、あまり面白いインスタレーションはやっぱな い。時間がなくなったので広場のノミの市軽く見て、そのあと市電でホテル戻りチェ ックアウトして駅まで。ECで芸術の都ウイーンに(観光に)向かう。ウイーンまでは 新幹線みたいな電車でいくのだが、結構食堂車がすばらしく、リッチな気分になる。 ウイーンついたら大雨で、すぐホテルにかけ込む。HOTEL POSTはその名の通り郵便局 のすぐそばで3つ星のところちなみにラマダは4つ星でした。でもこっちのほうがい い感じ。軽くインフォいって月間ウイーン(本当にそういうタイトルの日本語でのウ イーン案内)市内観光して、ちょっと道に迷ったりしてホテルに戻る。ウイーンはさ すがに日本人が多い。ぼくは有馬さんと一緒の部屋なので有馬さんのモデム+カプラ ーという強力な武器で接続に挑戦(ヨーロッパのホテルの電話はコネクターの形状と か四芯2芯の関係で接続できなかったのです)インフォネットだめだったのでコンピ ュサーブにしたらやっとつながった。とりあえず最終に間にあったのでほっとする。 日記の一部を書きメールチェックとゼネパティオとメガ日記を読む。2つで未読が1 000ちかくあった。とりあえずゼネパティオだけ全部読んで眠くて玉砕。



八谷和彦のアルス・エレクトロニカ・レポート(Art Watch - Sep. 24, 1996)
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