新伎楽
アジアの統合を象徴する『新伎楽』
3世紀、中国の魏・呉・蜀の三国時代に生まれた呉の歌舞(くれのうたまい)が7世紀初頭、飛鳥時代の日本に伝わりました。この伎楽の発祥はギリシャあるいはインドの仮面劇と言われています。聖徳太子が奨励し、当時の日本を代表する芸能として盛んに演じられました。 ヘルメットのように頭をすっぽりと覆う形の巨大な伎楽面は、彫りの深い、バリエーション豊かな表情をたたえており、強烈な印象を与えます。 当代一流の技術を誇る仏師によって製作され、世界的にも驚くほどの高い水準を保っています。
平安時代には衰退してしまったこの伎楽を新たな解釈で構築しようという試みが「新伎楽プロジェクト」です。面を着けて舞い踊る、にぎやかなアトラクションとしての楽劇で、新たに製作される伎楽面を着けて演ずるのは、バリ舞踊の俳優をはじめ、中国の京劇俳優、インド舞踊のダンサー、ブータンの仮面ダンサーに日本の古典の俳優たち。14世紀の時を超え、2000年の上演をめざして、国際色豊かな楽劇『新伎楽』の創作が着々と進められています。

伎楽面の種類
14種23面から構成される伎楽面には、ペルシャの王やインドの霊鳥をモチーフにしたものもあります。法隆寺に遺された最古の国宝をはじめ、正倉院、東大寺に伝わる200余りの仮面が往時の片鱗を伝えるのみです。

      万之丞語録4