新伎楽

治道(ちどう)

眉を吊り上げ、かっと目を剥いた鼻高面。露払い、行列の先導役。後世の天狗面のルーツと思われる。


師子児(ししこ)

獅子を操る少年の面。アーモンド形の目で、明るい表情をたたえている。


呉公(ごこう)

宝冠を着けた貴公子風の面で、威厳のある壮年の容貌が特徴的。


金剛(こんごう)

額に浮き出た血管、憤怒の形相は、行列の護衛役か。頭頂に結った髷(まげ)が金剛と力士の違いと思われる。


迦楼羅(かるら)

鶏冠(とさか)を立て、細長く突き出したくちばしの先端には宝珠をくわえている。インド神話の霊鳥を神格化したもの。


崑崙(こんろん)

獣の耳をもち、目を大きく見開き、歯牙を剥き出しにした口元の異形の相。呉女に懸想し力士にこらしめられる役。


呉女(ごじょ)

伎楽面で唯一の女面。菩薩のような整った表情は、唐代の年若い美女をイメージしたものと思われる。



力士(りきし)

口を閉じた憤怒の相。金剛とよく似ており、厳密な分類は難しいとされている。


婆羅門(ばらもん)

深いしわ、上歯の欠けた老人の面。インドのカーストの最上位階級だが、オムツを洗う仕草をすることで皮肉な滑稽味を表現した。


太孤父(たいこふ)

頭部のとがったこの相は、現代でもシルクロードを旅すると出会う顔に似ている。孤児を連れた、やもめの老人役。


太孤児(たいここ)

太孤父に従う孤児。獅子児と違って、どことなく寂しげな表情が印象的。


酔胡王(すいこおう)

酔った胡人を引き連れて登場する酔胡の王様。高い鼻、濃いヒゲは、いかにもペルシャ風。実りの象徴であり、ギリシャ神話でいうバッカスにあたる。



酔胡従(すいこじゅう)

伎楽の最後に登場する8人の酔っ払いたち。酔った雰囲気を表す、さまざまな表情がユニークな面。