バリの仮面

バリの言葉で言う「トペン」とは、仮面舞踊劇または仮面そのものを指し、バリ舞踊の原点でもあります。トペンには神や悪霊、王に王妃、英雄、高僧はたまたオカマや出っ歯などの民衆面、道化の半仮面などが用いられ、バロン・ダンスには魔女ランダや聖獣バロン、聖鳥ガルーダなど架空の動物の面が登場するなど、その種類も豊富です。ガムランのリズムにのって繰り広げられるバリの仮面劇は、演劇の根元をなす祝祭性を色濃く残しており、荘厳と通俗の二面性を併せ持っています。



コンメディアの仮面
16世紀の半ばに北イタリアで誕生した「コンメディア・デッラルテ」は、主要人物が仮面(マスケラ)を着けて演じる仮面劇で、ヨーロッパ各地を巡業し、野外で公演していました。フランスの民間伝承のイタズラ悪魔であるアルレッキーノ、大言壮語するカピターノなどに代表されるように風刺の精神に富む喜劇で、声のトーンや方言によってキャラクターの特徴を表すため、発声を妨げないように口の部分を覆わない半仮面が用いられています。