伎楽にやや遅れて伝えられた舞楽は、宮中の芸能として平安時代に隆盛を極めました。中世以降は地方の寺社に広がり、龍や蛇と関連する一部の仮面は雨乞いにも使用され、庶民の信仰と結び付きました。舞楽面は空想的で奇抜なものであり、大陸的な華やかな彩色が施されています。
能・狂言は庶民の芸能であった猿楽から発展し、室町時代にその様式美が完成されたことによって武家の庇護を受け、日本芸能の真髄として今に伝えられています。歴史と伝統に培われたその面は造形美を極め、相反するさまざまな感情を内に秘めています。