石燕曰く |
趙州無の則に、狗子にさへ仏性ありけり。まして伝灯をかかぐる坐禅の
床に、九年が間うちふつたる払子の精は、結加趺坐の相をもあらはすべし
と、夢のうちにおもひぬ。
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解説 |
石燕が言うには「禅宗では犬にさえ仏性があるという。それじゃあ、
座禅のお勤めで九年間も振られた払子の精は結加趺坐してるんじゃないか、
と夢の中で思った」ということです。「狗子仏性」は禅宗の有名な公案
(禅問答)の一つで、趙州は犬に仏性があるかと尋ねられて、
「従容録」では最初は「ある」と答え、その後で「ない」と答えます。
「無門関」では「趙州曰く無し」と簡潔にまとめられています。
「百鬼夜行絵巻」(真珠庵蔵)の器物妖怪の行進の部分にも払子が
出てきますが、石燕の結加趺坐の構図に対して、こちらは躍動感の
ある構図です。
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