今昔百鬼拾遺 雲之巻

(国立国会図書館所蔵)

石燕曰く もろこし巫咸国は女丑の北にあり。右の手に青蛇をとり、左の手に 赤蛇をとる人すめるとぞ。蛇骨婆は此の国の人か。或説に云、「蛇 塚の蛇五右衛門といへるものの妻なり。よりて蛇五婆とよびしを、 訛りて蛇骨婆といふ」と。未詳。
解説 「山海経」(高馬三良訳 平凡社)の 「海外西経」には、巫かん国は女丑の北にあり、 右手には青い蛇をにぎり、左手には赤い蛇をにぎる、とあります。 日本の妖怪の蛇骨婆も両手に赤と青の大蛇を持っているということで、 中国伝来の妖怪といったところでしょうか。
蛇五婆ともいわれ、夫である蛇五衛門という妖蛇が蛇塚に封じ込められて しまったので、その夫を守るため蛇塚に近づく者を威嚇してくるとも いいます。