石燕曰く |
唐詩に、「昨日僧裙帯上断腸猶繋琵琶絃」とは妓女亡ぬるを
いためる詩にして、僧に供養せしうかれめの帯に、なを琵琶の
糸のかかりてありしを見て、腸をたちてかなしめる心也。すべて
女ははかなき衣服調度に心をとどめて、なき跡の小袖より
手の出しをまのあたり見し人ありと云。
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解説 |
古着にも怨霊が宿ることがあるようで、江戸時代の慶長年間
(1596年〜1615年)の頃、京都の商人が娘に着物(小袖)を
買い与えた
ところ、娘はその小袖を着てから気分が悪くなったり、見知らぬ娘が
その小袖を着て立っていたりしました。気味が悪くなって、小袖を
売り払おうと思い衣桁にかけておいたところ、小袖の両袖口か
ら白い女の手が出てきて、皆驚きました。調べると、肩先から
袈裟がけに斬られた跡があり、うまく縫い合わせられていたので、
前に着ていた娘が斬られて祟ったの
であろうと、寺で供養したところ、娘も回復したようです。
白い手が出てくるほかにも、着ようとしたら氷のような手が先に入って
いたとかいう話もあるようです。
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