今昔百鬼拾遺 霧之巻

(国立国会図書館所蔵)

石燕曰く 博物志に云、「人帯を藉て眠れば蛇を夢む」と云々。されば妬る 女の三重の帯は、七重にまはる毒蛇ともなりぬべし。

おもへどもへだつる人やかきならん身はくちなはのいふかひもなし
解説 発音の関係か、人の邪心は蛇身に通じるということでしょうか。また、 蛇に例えられるものとしては女の執念が有名でしょうか。蛇は洋の東西を 問わず、古来さまざまな怪異なイメージに使用されてきました。
「蛇帯」というのは女性の妬みが帯にとり憑いて、毒蛇に変化して 嫉妬の相手を絞め殺すものです。「機尋」も同じく女の恨みによるもの でしょうか。どちらも器物の怪ではあるようです。