百鬼徒然袋 巻之中
(国立国会図書館所蔵)
石燕曰く
雪は鵝毛に似て飛でさんらんし、人は鶴裳をきてたつて徘徊せし、その蓑の 妖くはゐにやと、夢の中におもひぬ。
解説
長年の農耕に用いられた簑や草鞋が、農民の恨みや意志をもったもの でしょうか。
石燕の「雪は鵝毛に似て飛でさんらんし、人は鶴裳を きてたつて徘徊せし」の部分は、唐代の詩人である白居易の 漢詩から取られています。
「百鬼夜行絵巻」(真珠庵蔵)ではトカゲのようなものに乗った草鞋の 妖怪が描かれていますが、こちらは顔の部分が草鞋で、石燕の構図とは 異なるようです。