私のアジア大会

 T.K.@広島

私が、ヒッポに入ったのは去年の夏である。アジア大会の語学ボランティア に登録して、「一人で、言葉をやるより、誰かと一緒にやりたいなぁー」と思 っていた頃だった。 初めて、ヒッポに行った時は、一体どういう団体なんだ ろう・・・(なにせ、世の中には、いろいろな正体不明の団体が、マスコミを にぎわしているから、慎重にならざるを得ないのである。)と思いながらも、 みんなの生き生きとした顔が印象に残っていた。 まあ、今となっては、笑い ばなしだが、ちゃんと入会するまで私は1か月かかった。いかにも、慎重派の 私らしい?話だが、その間もしっかりファミリーには参加して、自分の思いを しゃべりまくっていたのは、ずうずうしい話でもある。ハハハ・・・。(^_^;)

 ヒッポでは、たくさんの言葉を枠にとらわれず、全部いっしょにやっている。 また、言葉だけではなく、物理学、科学、数学、生物学、古典、育児、社会生 活、そして自分自身への探究・・・とその幅は広いし、奥が、深い。

 考えてみれば、言葉だけに固執する方が難しいし、不自然なのではないかと 思う。ホント なんて自然なんでしょう  ヒッポのやり方って・・・。  

 私は、ヒッポと出会って、自分の中の、忘れかけていた何かを思い出した。 それは、心の中の片隅にあった心地良い空間・・・そう、アルプスの少女ハイ ジの屋根裏部屋のような居心地のよい所。〜藁のふかふかベッドに、窓から見 えるスイスの美しい景色、小鳥のさえずり、すがすがしい空気、風。〜 (^o^)/  しばらく、使っていなかったので、少々くもの巣がはって、湿気臭いけど、 窓を開けて空気を入れ換えて、掃除をしたので、もう大丈夫。

 そうすると、いろいろな国の言葉も、外国語と言う、部分的なとらえ方では なく、ぽん! と、まぁるい地球全体が、心に浮かんでくる。  みんなが、そう思えば、きっと戦争なんてなくなるだろうなぁーと、ヒロシ マの原爆の日を前に、平和を強く思った夏 だった。−('93夏)−


 と同時に、ポツポ&クックフレンズでもある私は、でっかいポッポ&クック のバッヂを外出する時、常にカバンにつけ、歩くアジア大会の「広告塔」と化 していた。ヒッポの小さい子どもに、「これはね。クック。こっちがね、ポッ ポ。」と、繰り返し言っては、アジア大会の宣伝活動?に勤しんでいた。

#それにしても、マスコットのポッポ&クックは、かわいかったなぁ〜。  出来るなら、ディズニィーのキャラクターにも、加えてもらって、永遠不滅 にしてもらいたいものだ。

 

 ポッポ&クックが、子どもたちの人気者になったのは、言うまでもない。 アジア大会直前からは、そこらじゅう、街じゅうポッポ&クックだらけのお祭り 騒ぎだったもんなぁー。 

 こうして、あっと言う間に、季節が一巡りして、広島アジア大会の秋が、やっ て来た。


 さて、いよいよ、アジア大会語学ボランティアの始まりである。

● (1994★10★1★土)

 初日は、選手村交流広場での 前夜祭 である。初日とあって、前の晩から、 緊張のため、ひどい肩こりになってしまった。トホホ・・・。(;_;)  どうしよう ・・・と、不安ばかりが、私の胸を締めつける。それは、選手村 へ向かうシャトルバスの中で、最高潮となった。でも、もう、やるっきゃない!  あっ 選手村。黄色い花、赤い花。各国の色とりどりの旗が、風にたなびいて いる。カラフルなトレーニングウエアーの選手たちも、見える。アー、トウチャ ケッター。

 事前研修で来た時と違って、実際にそこに人がいると言う事の素晴らしさに、 感動し、胸が熱くなった。
 やっぱり、人って、すごいなー。いいよなぁ〜人がいるって・・・。 ふと、以前見た映画の一場面を思い出した。それは、核戦争後の、建物だけの、 人は一人もいない映像だった。平和って、いいなぁ〜うれしいなぁ。(^_^*)

 そんな思いを巡らせながら、交流広場の事務所に歩いて行く。私の胸は、高鳴 り、土を踏み締める、ザクッザクッと言う足音♪と共に、行進曲を奏でている。

 

事務所で、手続きを済ませ、入村許可カードをもらった。さっそく、首からぶ ら下げてみる。「うわぁー。リレハンメルオリンピックの時も、こんなのしとっ たわぁー。」と、大喜びの私である。(^o^)//

 まだ、時間があるので、ゲートを通って選手村の中に入る。カードを見せて、 バーコードをピッーと読みとってもらう。本当に、わたし・・入れるのかなぁ? と、とてもドキドキする。私の不安をよそに当たり前にあっけなく通過できた。
 ゲートの係の人にとっては、たくさんの中の1回だけど、私にとっては、記念 すべきとても緊張した初体験だったのである。

 ホッとした気持ちで、ヒッポが担当している交流事業案内所をめざす。坂道を 下って行く途中、初めて、選手達とすれ違う。「ハーイ。」と、声をかける。私 にしては、とても小さい声だった。いかーん いかん 選手村の独特な雰囲気に すっかり、飲み込まれている。笑顔も、こわばっているゾォー。('_';)

 案内所に着くと、ヒッポのメンバーが、何人かいた。まんちゃんママに、その 事を話すと、「大丈夫よね〜。“慣れ”よ、慣れ。」と言う事で、選手村内の いろいろな場所を案内してくれた。友達は、ありがたいものだ。 (_o_)
 本当、心配ないもので、数日後には、私が他の人を案内していた。(^_^;)
 ハハハ・・・。

 まんちゃんママに連れられて、別のゲートからバスターミナルに出る。まんち ゃんママは、先輩らしく、さりげなくゲートをぬける。「おもしろい人がいるの よ。ボブって、言うのよ。」と、階段を登りながら話してくれた。階段を登りき ると、「あっ、いたいた。ハァ〜イ ボァ〜ブ 」と、まんちゃんママが、楽し そうに親しそうに話しかけている。あ〜そうかっ!こういう風に、楽しめばいい んだぁ〜。と、納得 いやぁ〜自然体を忘れていたんだ。よ〜し!自然体で楽し むぞぉー。

 ボブは、ピンバッヂの収集家で、椅子に座ってひざの上に、布を広げている。 その布は、バッヂがマニャマニャイッソヨォー。「ウェアーユーフロム?」と、 気がつくと私の口が、しゃべっていた。「ロォサンジェリース!」「オー!ロォ サンジェリース ウェルカムトゥーダァヒロシマ 」
 ボブの収集家仲間も2人いて、み〜んなたくさんのピンバッヂを持っている。 鞄の中から、出るわ出るわ・・。「オー、ソォメエニィー、イッツグレェイト」 世界中廻ってるだけあって、そのすごさには、いやぁ参った、参った。オーチン ハラシォーだった。
 気がつくと、ユニフォーム姿の選手達が2、3人そばに来ていた。まんちゃん ママは、彼女達とも、顔見知りらしく、「シンガポールの選手よ。」と、私に教 えてくれた。
 「ハァーイ、アポカバァーじゃなかった、ニィハォー」と、言いながら気がつ くと、手を振っていた。いいぞいいぞ〜楽しくなってきたぞぉ〜。(^o^)//
 その中の一人に、ポッポ&クックのピンバッヂが欲しい人がいるのよ、と、ま んちゃんママが、教えてくれた。ちょうど、持っていたので、彼女にあげた。彼 女は目を輝かせてそれを手にして、私にシンガポールのバッヂをくれた。
“thank you ”と、握手して別れた。

 階段を降りて、選手達の食堂の前を通り過ぎる。う〜ん、いい匂い!ウーン、 クーサーソォンボーン!チョーヌーンセンゴヤー!とヒッポのテープをしゃべっ ていた。すっかり、自然な心になっていた。自然な時の私って、自分で自分の事 をとても好きになる。ウキウキ いいぞぉー、いいぞぉー、ワタシ (*^_^*)

 交流広場に向かう足どりも軽く途中に交わす挨拶も楽しい。黄色いジャンバー の人、同じピンクのジャンバーの人には「こんにちはー」。「御苦労様でーす」 と、声が、返ってくる。日本語も、なかなかいいなぁ〜 

 坂道を登りきり初めてくぐった記念すべきゲートをぬける。いよいよ、前夜祭 さあ、どんな出会いがあるかしら・・・。
ヒッポのメンバーは、誰が来てるかなぁ〜。

 つづく・・・


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