KUSU MUSIC
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1996年11月7日(木) 19:00〜 福岡サンパレス SEX PISTOLS


There is no PUNK.
オープニングアクトを努めた女性パンクバンドの演奏が終わった後、7時42分にSEX PISTOLSは登場した。
メンバーの姿が見えると会場から叫び声が飛び交い、その中をダラリという感じでジョニー以外のメンバーがまず定位置についた。 続いてジョニーの登場。
「Good evening!!」の叫びとともにSEX PISTOLSの演奏が始まった。

今日の客の殆どが、SEX PISTOLSの全盛期を雑誌やビデオでしか知らない世代。 それでも、いろんな思いで、この会場に集まりPUNK BANDの元祖を拝もうと、思い思いのPUNK FASIONに身をつつみ、 PUNK SOUNDに対する典型的な反応の仕方で応えていた。

会場を見渡すと、いろんな客がひしめいている。
頭髪を頭の上に真っ直ぐに固めた、かわいらしい女の子や、「時計じかけのオレンジ」を思い出させてくれるようなハラショーにイカシたマルチックの集団。
なかには、会社が終わってそのまま駆け込んで来たのだろうか、背広姿で終始ヘッドバンキングしている男性。

そう、今では、まして日本ではPUNKが登場したときからファッションだったし、音楽のジャンルの一部だったんだから、この会場の中から生っ粋のPUNK KIDSを見つけだそうなんて所詮無理なこと。

第一、ステージの上のメンバーだって、最後までPUNKを感じさせてはくれなかった。

当時の研ぎ澄まされたような、砕けそうなビンビンの空気は客席まで届いてはこなかった。
スタンディング・マイクを最後まで使うこともなく、ジョニー・ロットンはハンド・マイクを握り締めながら熱唱していた。 何かおかしいと思いながらステージを見つめていた私が、SID VICIOUSAがいない事を思い出したのは30分以上も過ぎた頃。

SID VICIOUSAがいないこの日の SEX PISTOLSは、元SEX PISTOLSが集まった回顧BANDに過ぎなかった。 ジョニー・ロットンは、PILのBANDのボーカルのイメージの方が色濃かったし、名前も知らないベーシストが弾くビートは音楽の中に溶け込んでいて印象にも残らなかった。

この日のSEX PISTOLSに何を求めていたのか、自分自身わからないまま、1時間弱のコンサートはいつのまにか終わっていた。

客に唾を吐き掛けろとは言わないが、
少なくとも、
汗のついたタオルを客に渡したり、客席に手を伸ばし握手したり、「ありがとう」と深々と頭をさげる…、
そんなジョニー・ロットンの姿を見にいったわけではなかった。

結局、オープニングアクトで演奏していた女の子のバンドがかもし出していたスカスカした空気のほうが
PUNKっぽかったかもしれない…。

【BERO】

【お詫び】

コンサート当日、いかしたPUNK FASIONで来ていた方の撮影を行いましたが、データ処理のミスでみなさんのデータを紹介することができなくなってしまいました。 撮影に協力してくれたみんな、ゴメンナサイ!!