個展、最終日。3時を過ぎた頃、「じゃぁ、ライブやるけん、こっちに集まってください」という山善の声が響いた。 みんな「わっ」という歓声とともに、山善の側に移動する。 「ラッキーやね」「友達に電話してこようか」など囁きながら、突然のハプニングに感激を隠せない様子だ。 アコースティックギターを肩にかけ、自作の歌詞カードである大学ノートをパラパラとめくり、1、2回の咳払いで1曲目が始まった。 静かに歌う山善の歌声は、そこにいた友人達や個展をみに来た客達をやさしく包んでいた。そして山善も、たくさんの温かいまなざしに包まれていた。 何曲歌った後だろう。山善は突然立ち上がり「え〜、俺が今までこれたのも、まわりにいてくれた友達や、みんなのおかげです…。」と言い終わると、照れたように笑った。 そして、自然に湧き起こった拍手の音をイントロに、次の曲が始まった… |