モンゴル国内移動手段あれこれ

騎馬遊牧民族のモンゴルの民は、都市を離れれば日常交通手段は、やはり「馬」である。馬が1日に疾駆する限界距離は約40km。これは、チンギス・ハーンの時代にあった駅ごとに馬を交換して乗り継ぐシステム駅伝システム「ジャムチ」の一区間の距離とほぼ同距離である。ジャムチは馬が最も高速だった時代の馬を交換するための、今でいうガソリンスタンド的役割を担っていた。

モンゴルの馬は、木曽馬ほどの大きさで、ずんぐりとしている。蹄鉄はない。短距離の疾駆についていえば、サラブレットにスピードは劣るが、山地や長距離はがぜん威力を発揮。乗用以外に荷車牽引用としても利用されている。これら日常に利用されている馬の全ては去勢馬。極少数の牝馬が残され、残りの馬を去勢することで群の統率を図っている。かつて軍馬として利用されていた馬も去勢馬だった。

放牧では、群を移動させながら鞍を付け替えて様々な馬に乗る。これは、一頭だけ乗り回して疲れさせないためと、飼い馬を鞍に慣れさせるためである。放牧の際の移動には、牧草な牧草をむやみに荒らさないために、家畜がキャンプ地と牧地の間を往復する道「ジム」を決めている。

馬の次に移動手段として利用されているのが「ラクダ」だ。特にゴビ砂漠では、モンゴルのラクダのうちの半数以上が飼育されれいる。背中のコブの中の脂肪が分解し、エネルギーを補給するので、数日は水も食物も必要としないで働くことができる。また、一度に200〜300kgのものを背負うことができるので荷役として抜群の運搬力がある。ちなみに、乳や体毛までも利用できるモンゴルのラクダは、珍しいふたこぶラクダだ。

馬やラクダが移動手段として使われているモンゴルも近年ではその利用は減ってきている。馬に代わりジープやバイク、ラクダに代わりトラックが増えてきている。都市間には長距離バスが走り、大都市では路線バスもある。しかし、草原や砂漠の移動を考えると、ガソリンや故障といった点からまだまだ馬やラクダの活躍の場はありそうだ。

データベースへ もどる モンゴルのトップページへ